今年2月から山口県北部で有感地震にならない微小な地震が千回以上続いているが、過去の地震データの解析も含めて、今後に大きな地震につながる可能性を考えてみたい。
■山口県北部
今年2月下旬頃から、山口県北部で微小な地震が多発している。
まったく有感地震になっていないために、気象庁発表の地震情報を見ていても気づかない。
それが、この2ヶ月弱の間に、既に1300回を超える回数になっている。
下記グラフはRCC中国放送のニュースからのもの。
2月以降の山口県北部の微小地震の頻度を示すが、3月中旬以降は頻発しているのがわかる。
■火山性?
下記の週刊現代記事によると、文部科学省・地震火山研究科の担当者は、考えられる可能性を語っている。
それによると、火山性の地震であることと、地下の流体のようなものが地震活動を活発化させていることのいずれかの可能性があるという。
「火山性」云々は、震源付近は山口県唯一の活火山「阿武火山群」の範囲内にあることから来ている。
下記マップは、04/19 20:00以降24時間に起きた地震のみを示している。
気象庁の震央分布マップのデータだが、過去1週間ほどでは比較的回数が多い。
週刊現代の記事で、火山や地質構造に詳しい辻智大氏(山口大学講師)は、この震源にある阿武火山群は、約8800年前を最後に噴火していないという。
■流体が影響か
地球科学の専門家で、応用地質学に精通する山口大学教授の太田岳洋氏は、週刊現代の取材に応えて、震源の場所や深さが移動しているようにもみえる点を挙げて、地下でなんらかの「流体」が動いていることも示唆している。
そうなると、最近になって私が集中的に研究しているテーマ「流体と地震」に関わってくる。
昨年の能登半島地震から注目されるようになった「流体」の存在だが、では山口県北部あたりの地下には流体が存在するだろうか。
下記マップを見ると、やはりあるようだ。
28年前には、付近でM6.6の地震も起きていた。
また、上記の地震の前には、大分県中部で何度か小規模の地震が起きていて、その間に下記の地震も起きていた。
1997/05/13 17:31:鹿児島県北西部地震、M6.6、最大震度6弱、負傷者43人
この地震の後には、山口県中部でも下記の地震が起きた。
1997/06/25 18:50:山口県中部、M6.6、最大震度5強
この後も、6月下旬に同震源域でM3~M4クラスの地震が20回以上起きていた。
以上のようなことを考え合わせると、このあたりはやはり要注意のエリアのようだ。
もっとも、前述のRCCニュースで、京都大学防災研究所 西村卓也教授(地震学)はこう語る。
「この活動が今後どうなるかよくわからないところがあります。流体の移動が関わっているとしても、現在の震源の位置、深さを考えると大きな地震が起こらない深さですので、これが直ちに何か大きな地震につながったりとか、あるいはこの周辺には『阿武火山群』という火山がいくつかあるが、火山活動に直接関係することは、今の段階では考えにくい」
山口県あたりで今すぐ大きな地震が起きる可能性は低くても、長期的にはやはり火山活動も含めて、注視が必要な地域だろう。
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