【巨大地震】南海トラフ巨大地震がいつ発生するかがわかった(1)大地震発生時期には「季節性」がある

2025/02/15

巨大地震 黒潮 地震予測 南海トラフ

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この記事は5年前の今日に「探求三昧ブログ2」で書いた記事をリライトして最新の情報を加えたもので、2回に分けて書くが、南海トラフ巨大地震の発生時期を可能な限りで予測している。


■岡田正実氏の研究論文

※この記事は、2020/02/15に「探求三昧ブログ2」で執筆した内容をリライトして最新の情報に更新したもの。


これまでTOCANA記事やこのブログで何度か紹介してきた、岡田正実氏という地震学者による論文がある。


『日本付近の大地震発生の季節変動と地域性』(1982年)


40年近く前に書かれた論文だが、私は自分の地震予測研究に、様々な部分で大いにインスパイアされたものだ。


私は、南海トラフ巨大地震の発生時期の予測を、黒潮の流路の状況を取り入れて行っている。

南海トラフ巨大地震は、黒潮大蛇行が発生していない「非大蛇行期」に発生するという説だ。


この自説は、元々は岡田氏の研究結果に基づくもの。

その説を展開しているのが、上記の論文だ。


岡田氏は、長年気象庁で地震の研究をされてきた。


大地震発生の傾向が見えてきた

もっとも、この論文は南海トラフ巨大地震や黒潮大蛇行をメインに論じているものではなく、そのことに触れているのは、ごく一部にすぎない。


その後に自分が独自に研究を進めた結果として、岡田氏の研究結果は正しいことがわかってきた。


論文『日本付近の大地震発生の季節変動と地域性』は、そのタイトル通りで、日本で発生する大地震の発生時期に季節性があることを問題視している。

論文の重要な部分をまとめると、以下のようになる。


日本を5地域に分けて研究

岡田氏は、日本を大きく5つの地域に分けて論じているが、それは下記のマップに基づいている。



その5区分は以下の通り。


K:千島域

A:親潮域

B:黒潮域

S:本土内陸北部

I:本土内陸南部


以下に、それぞれの区分の地震発生の傾向や発生が多発する季節などを解説する。


B:黒潮域

◎関東以西の太平洋側(B:黒潮域)では、秋~冬に潮位低下や陸水の減少により大陸プレートの加重が減り、大地震が増える。


上記は、主に海溝型地震についてだが、一部はB地域に属する内陸についても該当する。


◎黒潮域では、黒潮大蛇行の消滅後に潮位が下降するため、関東大地震や東南海地震が起きている。


この補足として、黒潮大蛇行の終息直後の秋~冬に起きた大地震を挙げておく。


【大蛇行】1854年(開始・終了月不明) (1年間)

1854年12月23日:安政東海地震、M8.4

1854年12月24日:安政南海地震、M8.4

【大蛇行】1890年~1891年(2年間)

1891年10月28日:濃尾地震、M8.0

【大蛇行】1917年2月~1922年3月頃(約5年1カ月間)

1923年09月01日:大正関東地震、M7.9-8.2

【大蛇行】1934年3月1日~1944年前半(約11年間)

1944年12月07日:昭和東南海地震、M7.9

1946年12月21日:昭和南海地震、M8.0

【大蛇行】2013年7月下旬~2014年4月頃 (10か月間)

2014年11月22日:長野県神城断層地震、M6.7


K:千島域

M7.5以上の被害地震(1884年以前)、浅発地震(1885年以降)(内陸部はM7超)を前述の5地域に分けて、大地震発生時期の傾向をまとめると以下のようになる。


・千島沖(K):4個全部が8~11月に発生

・親潮域(A):14個中10個が3~5月に集中。

・黒潮域(B):24個中19個が8~12月に集中し、11~12月に最も多い。

・S:春から夏に多い。雪解けが影響か。

・I:6月~9月に多い。梅雨が影響か。Iだけは統計的に有意ではない。


過去に千島沖(K)で起きたM7.5以上の地震は、以下の通り。


1843年04月25日:千島列島、M8.2

1915年05月01日:千島列島沖地震、M8.0

1918年09月08日:択捉島沖地震、Mw8.3

1937年02月21日:択捉島南東沖、M7.6

1958年11月07日:択捉島沖地震、M8.1

1963年10月13日:択捉島沖地震、M8.1

1969年08月12日:色丹島沖地震、M7.8

1994年10月04日:北海道東方沖地震、M8.2

2006年11月15日:千島列島沖地震、Mw8.3

2007年01月13日:千島列島沖地震、Mw8.1


この傾向を見ると、10件中6件が8月~11月の夏から秋にかけて起きている。


A:親潮域

次に、過去に親潮域(A)で起きたM7.5以上の地震は以下の通り。


1611年12月02日:慶長三陸地震、M8.1

1677年04月13日:延宝八戸沖地震、M7.2~8.0

1678年10月02日:宮城県北部沖、M7.5

1717年05月13日:宮城県沖、M7.5

1763年01月29日:宝暦八戸沖地震、M7.4~7.9

1793年02月17日:寛政地震、M8.0~8.4

1843年04月25日:天保十勝沖地震、M7.5~8.0

1856年08月23日:安政八戸沖地震、M7.5~8.0

1894年03月22日:根室半島沖地震、M7.9~8.2

1896年06月15日:明治三陸地震、M8.2~8.5

1897年08月05日:三陸沖、M7.7

1915年11月01日:宮城県沖、M7.5

1924年07月01日:北海道東方沖、M7.5

1933年03月03日:昭和三陸地震、M8.1

1952年03月04日:十勝沖地震、M8.2 

1968年05月16日:十勝沖地震、M7.9

1968年05月16日:青森県東方沖、M7.5

1993年01月15日:釧路沖地震、M7.5

1994年12月28日:三陸はるか沖地震、M7.6

2003年09月26日:十勝沖地震、M8.0

2011年03月11日:東北地方太平洋沖地震、Mw9.0


上記21件中9件が、3月~5月に起きていた。


上記の黒潮域(B)の解説は、南海トラフ巨大地震が全て7月~2月(特に11~12月)に集中する理由でもある。


※2回目に続く



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