今日01/09の『現代ビジネス』で、『全日本人が知っておくべき「巨大地震が冬に起きる」納得の理由』と題した記事があって、自分の研究からも本質的な部分が含まれているので解説を交えて紹介したい。
■「巨大地震が冬に起きる」
今日01/09の『現代ビジネス』で、『全日本人が知っておくべき「巨大地震が冬に起きる」納得の理由』は、講談社が出版する『首都防衛』(宮地美陽子)から抜粋・編集したものとある。
ここで紹介されている東京大学の辻健教授は、「気象と地震は関係している」として、季節ごとの海面の高さに注目をする。
一般的に夏は海面が高く、秋から海面が下がり始め、冬場は海面が低い。歴史を振り返ると、海溝型の巨大地震は秋から冬に起きていることが多い。
関東地震(関東大震災)は1923/09/01に発生し、その約220年前の江戸の元禄地震は1703/12/31に起きた。
南海トラフ沿いでは、684年の白鳳地震から1946年の南海地震までの13回中、9月から11月に3回、12月から2月に7回、8月に3回起きていた。
■潮位が重要
この種の研究はこれまで徹底して行ってきて、誰よりも良く知っているつもりだ。
南海トラフ巨大地震に限っていえば、過去のすべての地震が7月~2月に起きていたという季節的な偏りがある。
辻教授は、海溝型の巨大地震が特に冬に起きやすい理由について、こう語る。
「地震が起きやすいプレート境界を押さえつけている海面からの力が、冬は海面が下がるため弱くなり、角度の緩いプレート境界断層の摩擦が小さくなることが原因の一つに考えられる」
ああ、やっと本質に近づく人が登場した。
私は、完全にオリジナルではないが、元気象庁・岡田正実氏による独自の研究に影響を受けた。
これは、南海トラフ巨大地震の発生が黒潮の流路に影響を受けるというもの。
■黒潮大蛇行
岡田氏は、1978年の論文で、1870年以降に南海トラフで起きたM6.5以上の地震を調べ、地震の発生と潮流の関係があると指摘している。
岡田説では、南海トラフ上の巨大地震は、黒潮の直進期(非大蛇行期)に起きやすいという。
そのことは、私の長年のデータ解析などの研究によっても裏付けられる。
私は過去の西日本の大平洋沖の地震と黒潮流路に関連性があるかどうかを、25年のSE経験を活かして調べたところ、岡田説を支持する結果となった。
そのことは、下記の有料note(セール中)で概要を解説している。
■今は大蛇行期
岡田説では、この説明原理としては、黒潮大蛇行の発生中は潮位が高くなり、それが海底の地震の発生を抑制するのではないかという。
そのため、前述の辻氏の説に大いに納得したのだ。
ちなみに、南海トラフ巨大地震の月別の発生時期を見ると、12月に最も多く起きていた。
その点でも、「巨大地震が冬に起きる」説は納得できるのだ。
では、黒潮大蛇行はいつ終息するのか?
昨日の記事で紹介した『週刊アサヒ芸能』の取材でも話したが、2017年8月に始まった黒潮大蛇行は、JAMSTECによる最新の予測でも、3月上旬までは終息しない予測となっている。
では、大蛇行はいつ終わるかについては、現時点では誰もわからない。
ただ常時ウォッチしていくしかないのだ。