01/18のTBSのニュース記事で、南海トラフ巨大地震の発生を「2029年前後」とする予測があるが、これが妥当であるかどうかを検討する。
■2029年前後
ネタ元は、01/18の「TBS NEWS DIG」の記事。
ここでは『「≒2029.3年」と予測 南海トラフ巨大地震 予見が早まる研究結果も…「今年起きてもおかしくない」という危機感を」』と題している。
この記事は、地質学が専門の竹内章富山大学名誉教授に取材したもの。
01/13に発生した日向灘のM6.6・最大震度5弱の地震が南海トラフ巨大地震の発生と関係があるかどうかを語っている。
竹内氏は、こう語る。
「そもそも、日向灘沖の地震は南海トラフ巨大地震と『関係がない』とみられていましたが、『地震は予知できない』と変更した政府の地震本部が『最大のリスク』を考える形で想定域を広げた際、日向灘も南海トラフといっしょに考えることになりました。そういういきさつもありますので、日向灘と南海トラフの地震は、よほどのことがない限り、直接関係するとは言えないのです」
■「直接関係する」例
竹内氏は「日向灘と南海トラフの地震は、よほどのことがない限り、直接関係するとは言えないのです」と言うが、私はそうは思わない。
顕著な例としては、日向灘の地震の1ヶ月半ほど後に南海トラフ巨大地震が起きたケースがある。
1498/07/09:日向地震(豊後水道、日向灘付近)、M7~7.5、死者多数。
→1498/09/20 08:00頃:明応地震(東海道沖)、M8.2-8.4、津波10m位、犠牲者2.6万人
日向灘の地震と南海トラフ巨大地震が「直接関係するとは言えない」というならば、2ヶ月半ほど後で起きた明応地震は、「たまたま」だろうか??
実際、日向灘で大きな地震が起きると、フィリピン海プレート周辺や東日本のオホーツクプレート上で大きな地震が続くことがある。
以下にその例を示す。
1909/11/10:宮崎県西部(日向灘近く)、M7.6、深さ150km
1909/11/21 16:35:台湾花蓮沖、M6.8、深さ35km
1944/01/05 11:53:日向灘、M5.7、最大震度4
1944/02/06 02:20:台湾花蓮沖、M6.7
1944/12/07 13:36:東南海地震、M7.9、最大震度6、犠牲者・行方不明者1,223人
1946/05/01 19:12:日向灘、M5.1、最大震度3
1946/12/05 07:46:台湾、台南新化地震、M6.1、犠牲者74人。
1946/12/21 04:19:南海地震、M8.0、最大震度5、犠牲者・行方不明者1,443人、津波5m。
1968/04/01 09:42:日向灘地震、M7.5、犠牲者1人。
1968/05/16 09:48:十勝沖地震、M7.9、最大震度5、犠牲者・行方不明者52人。
以上はごく一部で、他にも多数の事例がある。
■いつ頃起きるか?
では、竹内氏が言うように南海トラフ巨大地震が4年後頃に起きる可能性はあるのだろうか。
自説である、「南海トラフ巨大地震は黒潮の非大蛇行期に起きる」は、その頃になってみないと何とも言えない。
黒潮大蛇行が4年後も続いているかなど、予測できないためだ。
ただ一つ、現時点で、ある程度の可能性を検討できる要素がある。
それは、太陽黒点の11年周期だ。
太陽黒点数のピークの頂点付近では、過去に巨大地震は起きていない。
ピークに向かって上昇している時点、あるいはピークを過ぎて下降している時点で起きている。
そうなると、下記グラフに記したように、2029年頃にはピークを過ぎて下降に向かっている予測となり、南海トラフのような巨大地震が起きる可能性は、ピーク時よりは上昇するだろう。
以上は絶対的な指標ではないが、その頃の黒潮大蛇行の状況によって、発生の可能性がより見えてくるだろう。