前回10/29の1回目の記事から日が空いてしまったが、南海トラフ巨大地震の発生時期に大きく左右する黒潮の海流について、大蛇行が発生している期間は巨大地震の発生を抑制するという根拠を、データで示したい。
■大蛇行が大地震を抑制
前回10/29に下記の記事を書いてから、頭痛でダウンしていたり月末・月初のnoteマガジン編集などの多忙の故に、2回目の執筆が遅くなってしまった。
1回目の記事を書いたきっかけは、ここで書いたように、下記の10年前の記事を書いた頃に、南海トラフ巨大地震の発生に大きな相関関係がありそうだと気づいたことにある。
この頃は、元気象庁の岡田正実氏の先駆的な発見をトレースしていた程度だった。
だが、この10年間ほどで元SEのデータ解析経験を活かして、様々な角度から過去の地震データ解析を行い、自説に矛盾がなさそうだと地震に自信が持ててきた。
現在は、2017年8月下旬に発生した黒潮大蛇行が7年以上も続いている。
そして、黒潮大蛇行が発生している渦の内側では、M6.0以上の地震は全く起きていない。
その前の非大蛇行期(2014/05/01~2017/08/19)では、M6.5の地震が1件だけ起きていた。
その前の大蛇行期は?(2013/07/01~2014/04/30)
やはり0件だった。
■昭和東南海/南海地震
次に、ずっと過去に遡って、昭和期の南海トラフ巨大地震の発生前後は、どうだっただろうか。
まず、昭和東南海/南海地震の発生前の黒潮大蛇行期(1938/01/12~1940/11/18)では、M6.0以上の地震が2回起きていた。
だが、1件は内陸で、もう1件も紀伊半島の殆ど内陸に近い震源だった。
この2件の地震の場合、大蛇行の渦の根本であり、大蛇行にあまり影響を受けずに発生してのではないか。
次に、昭和東南海地震が発生する直前に始まった黒潮非大蛇行期(1934/03/01~1943/11/30)では、約9年半で、14回も起きていた。
これらの大半は、2回の南海トラフ巨大地震と、その余震だろう。
ちなみに、これらの地震の検索時に、震源の深さ50km以上の深発地震は除外している。
これまでの経験上、深発地震は南海トラフ周辺で、黒潮大蛇行の発生の有無にかかわらず、いつでも起きていることがわかっているためだ。
■大蛇行終息までは大丈夫か
これまで見てきたデータによって、「南海トラフ巨大地震は黒潮大蛇行が継続している期間内には発生しない傾向にある」ということが、ある程度裏付けられているのではないか。
これに加えて、南海トラフ周辺のスロースリップの状況などを加味して検討すれば、南海トラフ巨大地震の発生有無の判断は、より精度が増すだろう。
今後は、そのあたりも重点を置いて研究したい。
※大丈夫、発生確率とか最初からアテにしていませんので。
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