この記事は、10年前の2014/11/16の記事を加筆訂正して再掲するもの。
南海トラフ巨大地震のうちの昭和南海地震(1946)の前兆現象を収集した元送迎バス運転手が、巨大地震の前兆現象に関して科学者顔負けの「業績」を残したという稀なる逸話で、今後の巨大地震発生の前兆を知るにも重要な内容です。
■「南海地震は予知できる」
昨日は本の原稿執筆で、ブログを書く暇がなかった。
今日の午前中、最後の原稿を書き上げた。
どういう本かはまだ書けないが、年末あたりに出る予定です。
いままで私が執筆した本の流れで、だいたいわかると思いますが…。
業界の慣例で、まだ言えません。
【注】この頃に執筆していた書籍といえば、2014年12月発売のムック『2015予言 戦慄の未来記』(共著、ダイアプレス)のことだろう。
記事のうち1/3の20本を私が執筆した。
今日は精魂尽きて、頭の中がカラに近いが、2日連続お休みするわけには行かないので…。
ものすごく重要な本を紹介します。
『南海地震は予知できる 地震が残した証拠品』(中村不二夫著、高知新聞企業)
【Amazon】『南海地震は予知できる: 地震が残した証拠品』【注】これは高知県の病院の運転手だった中村不二夫氏という男性が仕事の傍らで、昭和南海地震の体験者の古老を周って徹底した聞き取り調査を行い突き止めた、地震学者も脱帽の本。
「南海地震は予知できる」
そう断言する人が書いた本。
そして、それは同意できると、読んだ後に私も思った。
70年近く前に発生した昭和南海地震の経験者から聞き取り調査を行い、前兆現象を検証した在野の研究者がいる。
高知市仁井田の海里マリン病院で、送迎バスの運転手として働く中村不二夫さん(71)だ。
■中村不二夫さん
「病院の送迎バスの運転手さんが書いた本が、何でそんなに重要なの?」
頭の中に「?」マークがたくさん飛び交っていることだろう。
私も、他人が書いたブログでそう切りだされたら、同様に感じるだろう。
でも、もうちょっと我慢して読んでほしい。
中村さんが働いていた高知市仁井田の海里マリン病院は高齢の患者が多く、昭和南海地震を体験した元漁師たちがバスに乗り込んできて、彼らから震災時の貴重な体験談をよく聞いていた。
そこで、そのことを更に調べようと思い立った。
高知県・徳島県の太平洋岸を回り、5年かけて、土地の古老から終戦直後の大地震の前後の状況を聞き出した。
150人もの人々から集めた情報をまとめ、2009年に自費出版したのがこの本だ。
昭和南海地震は、終戦の翌年の1946年年12月21日4:19すぎに発生したM8.0の地震だ。
9分間も続いた揺れの直後に、高さ4~5mの津波が襲った。
■南海地震の前兆はこれだ
中村氏が聞き取りした古老の大半は、震災当時は漁師だった。
彼らの証言をまとめて、主に以下のような前兆現象があることがわかった。
◎異常干潮:
地震前日の夕方5時頃から大きく潮が引いていた。
◎井戸水が枯れた:
高知市の民家では、2~3日前から釣瓶で汲めないくらいに井戸が枯れた。
◎海水汚濁:
高知県宇佐町沖合いでは操業していたサバ漁船が、船の流れを安定させるための漁具に、ドロドロしたヘドロのような汚物が付着し、海藻が腐ったような異臭がした。
◎地震前の暖気:
地震の数日前から、12月にしては異常に暑かった。
◎スルメイカの大漁:
その年はスルメイカがよく獲れた。
他にも前兆現象と思われるものがあるが、詳細は本を読んでください。
中村さんは2013年10月に東北地方を周り、東日本大震災の前の様子を地元の漁師たちから聞き取り調査を行った。
その結果、イワシ・マグロ・毛ガニの大漁、磁気コンパスの乱れ、異常な潮の流れ、地震当日の高気温などの報告を集めている。
中村さんは、単に情報を整理しているだけでない。
上記のような前兆の原因を詳細に調べ、たとえば上記の1と2は地殻変動による隆起の結果であることなどを突き止めているところが素晴らしい。
地震学者顔負けの研究で、そこまでやるかという感じだ。
中村氏の報告ではないが、昭和南海地震の前後の1926年から1959年まで、四国・和歌山・丹波山地での地震活動の低下が見られたという。
次の南海トラフ地震が起きる前にも、類似の前兆現象が発生するかもしれない。
その意味では、中村さんの在野の研究は、非常に貴重なものとなるだろう。
■必読書
南海トラフ地震の前兆について探求・研究される方や、四国など南海トラフ地震の被害想定が出ている地域にお住まいの方々には特に、一読をお勧めする。
特にこの本は、中村さんが私財を投じて自費出版されたものであるらしいので、尚更貴重だ。
私がこのブログで紹介する貴重な本は、直後にAmazonなどから新刊や古書が消え去ることがあるが、この本がそうなったら、もう二度と入手できなくなるかもしれない。
自費出版という性格上、増刷・再販が行われるとは限らないからだ。
決して大げさな表現でなく、この本を読んで、助かる命もあるかもしれない。
この本に登場する古老のように、先祖の教えを守って助かった人々もいるように。
■【追記】2022/11/17
あれから8年経って、この貴重な自費出版本も絶版となってしまった。
「復刊ドットコム」というサイトがあって、絶版書を復活させてほしいというリクエストを集めることができるが、自費出版書だとどうだろうか。
現在Amazonで見たところ、古書が1冊だけあった。
これが無くなったら、国会図書館にでも行かなければ読むことができなくなるかもしれない。
■【追記】2024/08/13
2024/08/08の日向灘、M7.1、最大震度6弱の地震が発生して、現在「南海トラフ地震臨時情報」が発出中となっている。
これは後日紹介するが、中村氏が中心となって立ち上げたサイトでは、前述のような異常干潮などを自動で観測するシステムがある。
現在、このサイトでは、南海トラフ巨大地震の前兆の可能性がある潮位の異常などは見られない。
Web上などの一部で騒がれているようだが、特に西日本の南海トラフの津波などで被災する恐れがある地域に住む方々は、常に正しい情報を得るようにしてください。