気象庁がエルニーニョ現象の終息の予測を発表したが、ちょうど今日メキシコ沖でM6.4の地震が起きて、地震と海洋現象の関係について解説するのに良い機会なので、エルニーニョ終息後の日本の大地震の発生傾向も含めて解説する。
■エルニーニョ終息
現在発生中の、エルニーニョ現象について。
エルニーニョとは、太平洋の赤道付近の日付変更線付近の監視対象エリアから南米沿岸にかけての海域で、海面水温が平年よりも高くなる状態が1年前後続くこと。
ラニーニャ現象は、逆に該当の海域で海面水温が平年より低くなる現象のこと。
05/10のウェザーニュースによると、この日気象庁が最新のエルニーニョ監視速報を発表した。
それによると、エルニーニョ現象は急速に解消へ向かっており、春の間には終息して、平常の状態になる見通しだという。
下記のグラフが昨年以降の経過と予測で、黄色部分は監視海域の海面水温と基準値の差を示す。
このように、夏になるとラニーニャ現象発生の可能性が高くなる。
下記のグラフは、エルニーニョ/ラニーニャ発生の確率を月毎に数値で示したもの。
このように、6月になると赤色で示すエルニーニョの発生確率は0となり、逆にラニーニャ発生の確率が10%となり、8月には半々となる。
■海面水温の解説
自説では、海面水温と地震の発生には相関関係があり、エルニーニョ/ラニーニャも主に海溝型の地震の発生に影響を与える。
今日はメキシコ沖でM6.4の地震が発生したが、エルニーニョ現象の影響が大きい地点であるため、この地震を例に解説する。
2024/05/13 20:39JST:メキシコ東部沖、M6.4、深さ75km
下記の図は、環太平洋のエルニーニョ監視海域の海面水温の遷移を、エルニーニョ/ラニーニャともに示している。
この図では、今日のメキシコ沖の地震の震源を★印で示している。
現在の大平洋の海面水温を示す図では、ちょうど今日地震が起きたメキシコ沖あたりは、かなり海水温が高いことを示す赤色となっている。
上記マップで、インドネシアなど太平洋で海面水温が高くなっているのは、すでにラニーニャへ以降の傾向が現れているのだろうか。
■ラニーニャ期に入ると
では、エルニーニョ現象が終息すると日本にどういう影響があるか。
過去の大地震の発生と海洋現象の関連を見ると、エルニーニョ現象の発生中は大地震の発生が少なくなる。
そして、ラニーニャ期に入ると、大地震の発生がエルニーニョ期に比べて多くなる傾向がある。
もっとも、これは太平洋側・日本海側・内陸も全て含めて集計した場合であり、地域別に細かく見て行くと、それぞれの傾向が見えてくる。
一般論でいえば、今夏以降にラニーニャ現象が発生すれば、この1年間ほど続いたエルニーニョ期よりは大きな地震の可能性が高くなることになる。
ただし、これはM6.0以上程度の地震の集計によるものであり、たとえばM7.8以上の地震を集計すると、逆にエルニーニョ期が多くなる傾向がある。
更にいうと、黒潮大蛇行の発生中は、大規模に絞るほど地震の発生は少なくなるのが興味深い。
このあたりのことは、夏に近づいてからnoteマガジンの方ででも独自の研究内容の発表も兼ねて詳細に解説することにしたい。
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