04/03に発生した台湾花蓮地震(M7.7)では現時点で犠牲者13人などの大きな被害地震となったが、台湾で大地震が起きると日本、特に西日本で歴史に残る大地震が続くことが非常に多い。
また台湾で大地震が発生する際の季節性や海洋現象や月齢との関係が私の研究からわかっていて、その概要を示す。
■月齢との関係
まず、台湾の大地震発生時の満月・新月・スーパームーン・日食・月食などの天体配置からのタイミングとしては、以下のようになる。
なお、今回の地震データは、4/3のように特別な大地震の傾向を見るために、1900年~2023年のM7.0以上の地震データ30件を対象とした。
以下は、各月齢の7日前/後に発生した地震を集計した件数となる。
満月 :11
新月 :05
スーパームーン:09
マイクロムーン:02
日食 :00
月食 :03
こうして見ると、スーパームーンは通常の満月・新月よりも発生頻度が低いにも関わらず、やはり前後に大地震が多く起きていたことがわかる。
■季節性
次に、地震発生時の季節性の傾向があるかどうか、発生月別に集計してみた。
すると、下記グラフのようになった。
少ないデータではあるが、ある程度の偏りが見られ、12月が5件と最も多い。
次に、4月・9月・10月が同じ4件となり、今回の4/3の地震は含めていないが、含めると12月と同数で最多となる。
ちなみに、台湾でも四季があり、夏は4月中旬~10月中旬あたりとなる。
もっとも、このような偏りはデータ件数の少なさから来るものかもしれず、そのあたりは慎重に扱う必要がある。
■海洋現象
次に、台湾の大地震発生の際に起きていた海洋現象を集計すると、下記のようになる。
まず、エルニーニョ/ラニーニャ現象では、現在発生中のエルニーニョ現象の際に多くなり、ラニーニャの発生中には少なくなる。
また、インド洋ダイポールモード現象(IOD)と呼ばれる、西側で海水温が高くなる(正)期間と低くなる(負)期間の集計では、正IODでは少なく、負IODでは非常に少なくなる。
通常IODは夏~秋に半年間ほど発生することが多いが、台湾は日本よりもインド洋に近く、何らかの要因で地震の発生に影響を与えるのかもしれない。
■日本への連鎖
最後に、ここが最も重要な部分だが、台湾で大きな地震が起きると、日本周辺で大きな地震が起きることが非常に多い。
その例を以下に示す。
◎1916/08/28 07:27:M7.0
→1916/11/26:明石付近、M6.1、犠牲者1人
◎1922/09/01 19:16:M7.7
1922/10/14 23:46:M7.0
→1922/12/08 01:50:島原地震(長崎県橘湾)、M6.9、犠牲者26人
◎1925/04/16 19:52:M7.1
→1925/05/23 11:11:北但馬地震、M6.8、最大震度6、犠牲者428人
◎1935/04/20 22:02:M7.1
→1935/07/11 17:24:静岡地震、M6.4、最大震度6、犠牲者9人
◎1935/09/04 01:37:M7.1
→1935/10/18:三陸沖、M7.1、最大震度3
◎1936/08/22 06:51:M7.1
→1936/11/03:宮城県沖地震、M7.4、最大震度5
◎1938/09/07 04:03:M7.1
→1938/11/05 17:43:福島県東方沖地震、M7.5、最大震度5、犠牲者1人
◎1951/11/24 18:50:M7.8
→1952/03/04:十勝沖地震、M8.2、最大震度5、犠牲者・不明者33人
→1952/03/07:大聖寺沖地震(石川県)、M6.5、最大震度4、犠牲者7人
◎1972/01/25 02:06:M7.3
1972/01/25 03:41:M7.1
→1972/02/29:八丈島東方沖地震、M7.2、最大震度6
◎1986/11/14 21:20:M7.4
→1987/03/18:日向灘、M6.6、最大震度5、犠牲者1人
◎2006/12/26 12:26:M7.1
→2007/03/25:能登半島地震、M6.9、最大震度6強、犠牲者1人、津波
このように、台湾でM7クラス以上の地震が起きると、3ヵ月以内くらいに日本、特に西日本で大きな地震が連鎖することが非常に多い。
これは、やはり台湾がユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界にあり、フィリピン海プレートの活動が西日本にも影響することで説明ができる。
特に今回は3ヵ月以内くらいに、スーパームーン皆既日食→スーパームーン新月と過酷な時期が続くこともあり、夏までは油断がならない時期が続くと考えておいた方が良いだろう。
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