今日は2016年に熊本地震(本震)が発生してから8年経つが、273人の犠牲者が出たこの大地震では、様々な地震前兆現象などがあったことを昨日からの続きの(2)として紹介する。
■動物前兆:カニ
『週刊新潮』2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号(2016/4/27発売)に、熊本地震の前兆現象かもしれない事象が紹介されていた。
まず、熊本県宇土(うと)市の化粧品店で、4月14日の前震の前日に店主夫妻が見えた光景。
夫妻が見たのは、3種類の動物の異常行動。
(1)店内をサワガニが3匹くらい歩いていた。
(2)小さな家ネズミが3匹ちょろちょろ歩いていた。
(3)7年くらい飼っているデメキンが頭を下にし、縦になって泳いでいた。
まず(1)は非常に珍しいケースで、サワガニは淡水域で過ごすカニで、それが店内を歩いていたというのは滅多にないことだ。
記事中で、動物の脳や感覚の研究をしている宇都宮大学農学部の杉田昭栄教授が、こう語る。
「「サワガニには毛が生えていないので、感受のメカニズムが分からない。だから何ともいいづらいところがありますが、地面や沢の変調を感じて、逃避行動に出た可能性が考えられます。例えば、人間には分からない程度の水位や水質の変化です」
どこかの科学者のように頭ごなしに否定せずに、宏観異常異常現象として可能性を検討するところは好感が持てる。
実は、カニの異常行動の例は意外に多く見られる。
私の「バイブル」の1冊である『地震予測ハンドブック』にも、何件かの事例がある。
中国の大地震の前には、カニが家の屋根に上ったという事例がある。
また、多数のカニが水上に浮き上がったとか、水辺から逃げ出したというケースもある。
大正関東地震の2日前には、横浜で数十匹の赤いカニが陸まで這い上がってきた。
やはりカニも地震前兆に敏感なのかもしれない。
海から陸地に出てくるケースの可能性としては、海中で電流が流れているのを回避するためか。
宇土市は北部に大きな川が流れていて、そのような事例かもしれない。
■動物前兆:ネズミ
次は(2)の、家ネズミが3匹ちょろちょろ歩いていたケース。
うちもかつては天井裏にネズミを飼っていた(?)が、大地震の前に「運動会」をやっていたことがあった。
逆に、大地震の前に天井裏が急に静かになる例も多く、どこかへ逃げ出した可能性がある。
また、この報告のように、地震の前に人間がいても怯える様子がなく屋内をフラフラ歩く例というのも、よくある。
これはもう、通常の精神状態で行動できない状態だと考えられる。
前述の『地震予測ハンドブック 』にも、非常に多くのネズミの事例が紹介されている。
家の中で、人間やネコを見ても恐れず逃げようとしない例も見られる。
■動物前兆:キンギョ
次は(3)の、7年くらい飼っているデメキンが頭を下にし、縦になって泳いでいたケース。
キンギョ類は、一斉に同一方向を向いて整列するというケースが多い。
昨年からキンギョを飼い始めたのも、このような事例を観察したいという目的もある。
ただし、現在は中型が1匹しかいないために、そのような観察はできない。
以前は2匹いたが、2023/05/04夜に家族で外出して帰宅すると、1匹が水槽から飛び出して息絶えていた。
ちょうど2023/05/05 14:42に石川県能登地方でM6.3、最大震度6強の地震が起きて、300km弱の距離なので地震前兆としての異常行動だった可能性はあるだろう。
また、「鼻上げ状態」や腹を上にして泳ぐ例も報告されている。
だが、これも一種の電流による痛みの回避行動なのかもしれない。
この3種類の動物の異常行動は、やはり熊本地震と関係があったと考えられるだろう。
宇土市の化粧品店の正確な位置は不明だが、熊本地震(前震)の震源から20km前後の距離だと思われる。
これほどの近場ならば、これらの動物が日常的に見られない異常行動を示すことも、十分にあり得ることだろう。
これらの動物の異常行動などは、私が企画・執筆したムック『予言・天変地異: その日に備えよ!』でも、「動物異常現象」として多くのページを割いて紹介している。
前述の、ネズミやキンギョの事例も大地震の前兆として非常に多いケースとして紹介している。
■池の水位
次は、これもよくある大地震前の水位変化の関連。
熊本市の名所として知られる回遊式庭園「水前寺成趣園(じょうじゅえん)」の池の水が、本震があった4月16日未明に、通常の2~3割程度に減少していたという。
原因ははっきりしていない。
通常は湧き水で満ちている池の水の大半が、干上がった状態になっていた。
鳥居や灯籠は地震で倒壊していて、前震翌日の15日以降休園している。
水前寺成趣園は、震源地となった熊本市中央区の益城町寄りの場所なので、やはり地震と大いに関係がありそうだ。
だが、干上がっていたことが判明したのが、本震があった16日未明の前後なので、厳密にいうと「前兆」かどうかはわからない。揺れた後で起きた現象であるかもしれない。
■気温などの変化
大きな地震の発生前後には、気象現象に様々な変化が見られる。
まずは、大地震の1~2週間前に見られる、気温のピーク。
下記の熊本の日々の気温グラフの、赤線で示される最高気温が、前震の5日前にピークがあった。
12日前にもピークがあったと見ることもできる。
また、本震の日の10分毎の熊本の気象データを見ると、本震が発生した01:25:05頃に、下記のような点が見られる。
◎25分~15分前に気圧が下がる。
◎35分前に気温のピーク。
◎約1時間前に風速のピークと15分前に風速の谷間がある。
このような変化は、他の多くの大地震の前後にも見られるものだ。
■地震雲?
また、「地震雲か?」と思われるような雲も見られていた。
下記の写真は、私のFacebookの友だちが2016/04/07 15:00頃に撮影したもの。
大分県宇佐市の米神山山頂付近から南南西あたりの方角へ向けて撮影したという。
向かって右手(西方の前震の震源方向)から雲が波々と湧き出しているような印象を受ける。
米神山山頂から前震の震源までの距離は約97km。
いわゆる「地震雲」の可能性として、検討の価値はありそうだ。
■天体配置
また、私が研究している、地震発生時の天体配置の件。
まず、前震(M6.5)の発生時には、下記のように、不完全だが「カイト」と呼ばれるアスペクトができかかっていた。
次は、本震発生時のもの。
まず、緑線で示すように、前震と同じ「ほぼカイト」があり、加えて青線の「グランドトライン(正三角形)」と「Tスクエア(直角三角形)」ができていた。
このように複雑なアスペクトが重なってできることは非常に稀なことであり、これまで多くの世界の大地震・火山噴火発生時の天体配置を見てきた中でも、非常に「顕著」と思わせるものがある。
この記事は2回で終わるつもりだったが、まだまだ書くべきことが多いので、明日も続きを書くことにしたい。