03/05の読売テレビのニュース記事で、千葉県東方沖周辺の地震活動について地震学者・梅田康弘名誉教授が「次のステージに入っています」と語り、場合によっては「巨大地震」につながる可能性も示唆しているが、その可能性を検討したい。
■梅田康弘名誉教授
02/27から千葉県東方沖付近で始まった地震は、1週間で30回を超える回数となった。
地震調査委員会は、今後も“震度5弱”程度の強い揺れに注意するよう呼びかけている。
2024/03/04放送の読売テレビ「情報ライブミヤネ屋」では、地震学者の京都大学・梅田康弘名誉教授が出演して意見を求められた。
私は番組を見ていなかったが、下記のニュース記事でまとめられた解説に沿って内容を検討したい。
まず、下記の図は02/27~03/05に千葉県付近で発生した地震のマップで、32回起きていた。
地震調査委員会によると、今後も震度5弱程度の強い揺れが発生する恐れがあるという。
■ゆっくりすべり
千葉県東方沖では、3~6年程度の頻度で、“ゆっくりすべり”を伴う地震を観測している。
つまり、最近ずっと書いている「スロースリップ」のことであり、英語では「Slow Slip Event」(SSE)や「Silent Earthquake」などと呼ばれる。
「通常時」は海のプレートが沈み込むことで、陸のプレートも引きずり込まれて常に“ひずみ”が蓄積されていく。
このひずみが限界に達して一気に跳ね上がると大きな地震の揺れが起こる。
だが、一気にではなく、ゆっくり跳ね上がるとスロースリップとなる。
この場合、人が感じる揺れは発生せず、また津波が起きることもない。
■スロースリップ→巨大地震?
【Q】ゆっくり滑っていて、周りを巻き込んで大地震が起こるリスクはないのか?
梅田名誉教授は、こう答える。
「それがあるんです。非常に恐ろしいんですよ。ゆっくりすべっているとそこのひずみは解消するのですが、周りにストレスが溜まってしまいます。今回はマグニチュード5ぐらいですが、バーンといってしまうと巨大地震になってしまいます」
つまり、現在のスロースリップは陸側のプレート(北米 または オホーツク)全体が動くのではなく、ごく一部がゆっくり動いているが、これがプレート全体が動いてしまうと、巨大地震になってしまうという。
■相模トラフ
【Q】千葉県東方沖地震と関東大震災(大正関東地震)は同じ「相模トラフ」で起きているのか?
梅田氏「そうです。相模トラフのほんの一部です。しかし、関東大震災は今から100年前に起こっていますので、あんな巨大地震は近々では起こらないだろうと我々はみています」
ここで補足すると、相模トラフ沿いでは180年〜590年に一度の周期で巨大地震が起こっている。
大正関東地震(1923年)の前には、元禄関東地震(1703年)が起きていた。
元禄関東地震(1703)
↓ 220年
関東地震(1923)
↓ 180~590年?
首都直下地震?
このため、関東地震から101年経った現在では、まだ次の巨大地震の発生の可能性は低いというのが、多くの地震学者の説となっている。
もっとも、この論理は、「180年〜590年」という周期が本当に妥当であればという条件があり、どれだけの根拠があるのかはわからない。
個人的には、あまり信用しない方が良いかもしれないと思う。
また、少し規模が下がってM7クラスの地震の場合は、もっと高い確率で発生し得ると考えられている。
■首都直下地震
【Q】今回の千葉県東方沖地震は、首都直下地震を誘発するものか?
梅田氏「『千葉県東方沖』は海なので、首都直下からは外れています。ですが、3月2日に千葉県南東部のちょっと離れたところの陸地でマグニチュード5.0地震が起きました。これは直下地震に入るんです。地震を誘発したのが“ゆっくりすべり”の周辺だけに止まっていれば良いのですが、離れたところに誘発し始めると直下型地震に繋がる恐れがあります」
この「離れたところ」つまり千葉県東方沖の周囲で大規模な地震が発生する可能性は、十分にあると考えておくべきだろう。
【Q】今日本は地震の活動期なのか?
梅田氏「そうです。活動期です。南海トラフ地震が起こって70年ほど過ぎていますので、次のステージに入っています。ですから西日本でも地震活動が活発になっています」
最後に非常に意味深な言葉が出てきた。
そろそろ気を付けましょうということだろう。
■大災害シリーズ
この先生、さすがに立派な業績を残されているだけあって、的確な解説となっている。
私が言うところの「大災害シリーズ」は10年・20年のタイムスパンで考えているが、東日本大震災からまだ13年しか経っていない現在、「活動期」であることは同意できる。
たとえ相模トラフの巨大地震がまだ先としても、他に想定されている首都直下地震が起きるかもしれない。
私は自分の身の上に起きることを「予言」されてしまっているので、他人事ではない。
本当に「移住」も検討しなければならない。