02/26から始まった千葉県東方沖の群発地震は、房総半島沖で発生している「スロースリップ」による地殻変動に起因しているとされるが、では今後により大規模な地震が起きる可能性はあるだろうか?
■スロースリップ
以下は6年前の2018/07/17のウェザーニュースより。
2018年6月、千葉県沖で「スロースリップ」現象が立て続けに起きた。
2018/06/03~08:房総半島沖でスロースリップ。約6.5センチ動いた。
千葉県東方沖では、海側のフィリピン海プレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいますが、プレートの境界がゆっくりずれ動いている。
当時は「大地震の前兆」と危惧する声もあったが、どうなったのか?
それに先立って、下記の地震が起きていた。
2018/06/12 05:09:千葉県東方沖、M4.9、最大震度3、深さ17km
地震調査委員会の平田直委員長は、今後より大きな地震がある可能性があると注意を呼びかけた。
その後、下記の地震が起きた。
2018/07/07 20:23:千葉県東方沖、M6.0、最大震度5弱、深さ57km
以前の記事で書いたように、気象庁の震度データベース上では、過去に千葉県沖で起きた地震は最大でM6クラスだった。
■M7クラス超も起きていた
では千葉県沖ではM7クラス以上の大地震は起きないかというと、より過去に遡っていくと、そうとはいえない。
たとえば17世紀には下記の地震が起きていた。
1655/05/02:房総沖地震、規模不明、千葉県に津波。
その後、以下のような巨大地震も発生していた。
・1677/04/13:延宝房総沖地震、M8.0前後、犠牲者500~600人、津波。
・1909/03/13 23:29:房総半島沖、M7.5
■スロースリップと通常の地震
一般に、スロースリップが多発することによって、大地震の発生が抑えられることがある。
そのあたりのことは、この道の先駆者である川崎一朗・京都大学名誉教授著『スロー地震とは何か』(日本放送出版協会)を読めばわかる。
というか、この本を読まなければ話にならない。
ちなみに、2006年に出版された本書では、5年後の三陸沖の巨大地震の発生を示唆していた。
…ということは、もっと世に知られるべきことだろう。
上記とは逆に、スロースリップの発生が大規模な地震を誘発するケースもある。
南海トラフ巨大地震でも、周辺で発生するスロースリップとの関係について研究が進んでいる。
東北地方太平洋沖地震では、その2ヵ月前に三陸沖でスロースリップが発生していた。
また、2日前の前震(M7.3、最大震度5弱)の後にもスロースリップが発生していて、それが本震の震源となる地点へ向かって移動していったことで断層の破壊を促進させた可能性が指摘されている。
現在の房総半島のスロースリップが今後の大地震に繋がるかどうかは現時点では何ともいえないが、その可能性は十分にあると考えておくべきだろう。
より詳しいことは、近く「某所」で語ることにしたい。
■イオノグラム
2024/03/04 16:55のイオノグラムで沖縄が強い波形が出ていたので、ブログを書いていては間に合わないと、Instagramサブアカで周知した。
2024/03/04 17:31:石川県能登地方、M4.3、最大震度3
その後、右下の沖縄の方は、23:15時点でまだ対応する地震が発生していない。
近場なほど小規模で終わることが多いと書いたが、タイムラグが長いとそうでもないかもしれないので、注意を。