今日、黒潮の流路を見ていると、黒潮が通常とは異なり、通常は房総半島沖あたりで東へ向かう「黒潮続流」が、北端が東日本沿いに北上する現象が続いていたのが、突然に元の通常流路に戻っていたことだ。
この現象が地震の発生とどのような関係があるのかを、これまでの観測から書いてみたい。
■黒潮続流
まず、3月中旬の03/14の黒潮の流路を以下に示す。
このように、黒潮続流の北端がずっと北上し、青森県沖あたりまで達していた現象がずっと続いていた。
ところが、昨日03/25の海況を見ると、ガラッと変わってしまっていた。
このように、黒潮が房総半島沖あたりで東へ向かうことが本来の「黒潮続流」の姿だが、それがこの5年間ほどは、北端が茨城県沖から北は青森県沖まで北上する時期が続いた。
このように、黒潮続流の北端が突然に南下してきた。
■JAMSTECの予測
このことは、03/21のJAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)の『黒潮親潮ウォッチ』の記事「黒潮続流は南下するか?」で、長期予測として予見されていた。
これによると、この季節は北から南へ向かう親潮の勢力が拡大しやすい時期であり、そのために黒潮続流の北端が南下する予測となっている。
だが、実際は黒潮続流の北端がこの予測よりもずっと南下することになった。
■大地震が抑制される?
これまで私が黒潮続流と東日本沖の地震発生の関係を解析してわかったことは、この黒潮続流の北端が北上すると、どうも大きな地震の発生が抑制されるのではないかということだ。
あくまでも現時点での推定だが、データ的にはそのようになる。
このあたりの詳しいことは、有料のnote定期購読マガジン『大地震・災害ウォッチマガジン』の2024年2月版で2回にわたり、多くのデータとともに示している。
上記oteマガジンで書いているように、これまでの調査でわかってきたのは、黒潮続流の北端が北上するほど、東日本の太平洋沖の大地震は少なくなるようだ。
ということは、黒潮続流が通常通り東へ向かうことが一時的ではなければ、東日本沖で大きな地震が発生する可能性が高くなるかもしれない。
■エルニーニョとの関係
また、現在は昨年春(5月)からエルニーニョ現象が発生しているが、気象庁の予測では、この夏までも継続する可能性が高いという。
私の調査では、東日本の大平洋沖で起きる大規模な地震は、エルニーニョの発生中は少ない傾向が見られる。
逆に、ラニーニャ現象の発生中は同海域での地震が増える傾向がありそうだ。
このため、この夏以降にエルニーニョ現象が収束してラニーニャ現象の発生となれば、黒潮続流の正常化と共に、東日本沖の大地震の可能性が増すことになるかもしれない。
以上、あくまでも可能性としてだが、以上のような傾向があることを紹介しておく。
私は明日03/27~04/05に家族とタイに滞在し、いつものようにPCに向かって様々なデータを駆使して執筆が難しくなるが、この記事で書いたような観点も含めて、観測を続けることにしたい。