1月1日に発生した能登半島地震は、元日に発生した大地震ということで発生時期的に非常に稀な地震となったが、これを機に過去に北陸地方で発生した大地震の季節性や発生していた海洋現象を調べてみたところ、意外な結果が現れた。
■北陸全体の傾向
ご承知の通り、日本の太平洋側に比べて日本海側で発生する大地震は少ない。
そのため、過去に能登半島で起きた大地震だけを集計すると、統計的に有意にならない数になることは想定内だったため、北陸地方全体で起きた大地震を扱うことにした。
気象庁の震度データベース検索に収められた1919年~2023年に北陸地方で起きたM5.0以上の地震を検索すると、103件あった。
ただし、元日に起きた能登半島地震を含めると時期的に中途半端になるため、2023/12/31までに発生した地震を対象とした。
まず、地震が起きていた際に発生していた海洋現象を集計すると、下記の表の通りとなる。
まず、エルニーニョ・ラニーニャ現象の有無を見ると、エルニーニョ期に少なくなる。
こうした海洋現象は、基本的に太平洋側で影響が出ることはあるが、日本海側にも影響があることは意外なところだった。
あるいは、何かしら統計的な偏りが生じる要因があるのかもしれないが。
IODについても、インド洋の海面水温の高低が日本周辺の気候に影響を与えることはわかっているが、地震発生についてはどのような説明原理が成り立つかわからない。
黒潮大他行については、太平洋側の現象なので、偏りがないのは納得する。
次に、月別の地震発生数をグラフでまとめると、下記のようになる。
ここで、5月最も多くなっているが、これは2023/05/05の能登半島の地震の影響だろう。
1月に極端に少ないのが意外なところだった。
■能登半島の傾向
次に、データ数は少なくなるが、能登半島の内陸と沖合で起きた地震に絞って集計してみた。
すると、北陸全体と異なり、エルニーニョ期に非常に多くなっている。
これも少ない場合と同様に、なぜそうなるのかは今のところわからない。
次に、発生月を見ると、かなりの偏りが見られる。
春から初夏が多く、夏から冬には極端に少なくなる。
5月~6月が最も多いのは、昨年2023/05/05のM6.5の地震など、能登半島沖で多いようだ。
ここでハッと気づいたのは、以前に調査した日本の地域別の地震発生の季節性だ。
下記のマップは2019年までのM7.0以上の地震のエリア別の発生月を調べた結果だが、日本海では3~6月が多くなっている。
能登半島の地震の集計結果と矛盾しない結果となっている。
能登半島で1月に大地震が全くなかったが、今年の能登半島地震はレアケースということになる。
なぜ能登半島だけ、このような偏りがあるのかは、今後の課題としたい。
■日本海側豪雪地帯の傾向
次に、北陸地方の地震について調べたところで、日本海側の豪雪地帯の地震の傾向を知りたくなり、集計してみた。
下記のマップで、「特別豪雪地帯」を示す紺色が含まれる県(北海道を除く)の内陸が震源となった地震を対象とした。
まず、海洋現象の傾向は以下のようになる。
やはり、北陸地方と同様に、エルニーニョ期には地震が非常に少ない結果となる。
黒潮大蛇行期にもやや多くなるのは、理由はわからない。
エルニーニョ期の偏りについて、思いついたのは、この時期には暖冬になる傾向があるが、時には大雪に見舞われることも多いということだ。
日本海側では、降雪となる冬季には雪の重みで地震の発生が抑えられるという説がある。
ただし、下記の月別の地震発生数のグラフを見ると、1月あたりが多い。
前述のように、元々日本海側では大地震はそう多くなく、能登半島や豪雪地帯といった絞り込みをすると統計的に有意ではなく、どうしてもデータの偏りが出てしまうのかもしれない。
■今日の地震前兆
最後に、今日の地震前兆現象としては、まず昨夜23時台~00時台にばけたん点滅が4回集中していた。
ばけたん点滅は、通常は半日から1日くらいの遅延の後で地震が発生することが多い。
これが、1日以上たっても関東圏で地震が起きない場合は、03/17の福島県沖M5.4のように、大きめの地震となることもある。
ラドン濃度は、上記の表のように今朝のピークから下降に転じていて、これも普通ならば地震が起きているはずで、そろそろ対応する地震が起きるかもしれない。