昨日北アフリカのモロッコで発生したM6.8の地震は、09/10午後時点で犠牲者数が2000人を超える大きな被害地震となったが、これはアフリカプレート内の活断層が動いた結果の直下型地震だったようだ。
今回は日本から離れていることもあり、今後に日本付近への大地震の連鎖の可能性を検討するよりも、08/28のインドネシアM7.0の深発地震からの流れで捉えると今後も要注意だということがわかってくる。
■活断層が動いた
今日午後の報道によると、09/08深夜に起きたモロッコ地震M6.8によって、すでに2000人以上の犠牲者が出ているという。
下記の写真は、深夜の地震発生直後に屋外に避難する人々。
被害が大きくなった要因の一つは、モロッコではレンガや石造りの住居が多く、震度5弱程度の揺れでも建物の倒壊など甚大な被害が出やすいことがある。
たとえ鉄筋コンクリート造りでも、中の鉄筋が十分でなかったりで、日本の鉄筋コンクリート造りと同様の強度は望めないことが多いようだ。
内外の報道で地震の専門が語っているが、たとえばNHKニュースで、東京大学地震研究所の佐竹健治教授がコメントしている。
それによると、今回はアフリカプレートの内部の活断層で発生した地震で、岩盤どうしが押し合い片方の岩盤がもう片方の岩盤の上に乗り上げる「逆断層」というタイプだったとしている。
以下に示すマップは、トルコの地層と活断層を示している。
今回も含めて過去の被害地震の震源を書き入れている。
今回は、高アトラス山脈に沿って存在する活断層が動いた結果の地震のようだ。
海溝型地震に比べると、やはり活断層地震は前兆を捉えて予測するのが難しい。
今回も、今年に入ってモロッコ地震の震源周辺では予兆となるような地震が一切起きていなかった。
■過去のモロッコの被害地震
次に、過去にモロッコで起きた大きな被害地震と、その前後に世界と日本で起きた地震を並べる。
1960/02/05 01:50:三陸沖、M6.1、最大震度2
1960/02/08 12:45UTC:アルゼンチン南沖、M6.4、深さ15km
1960/02/09 23:55UTC:インドネシア・バンダ海、M6.5、深さ35km
1960/02/29 23:40UTC:モロッコ、M5.9、深さ10km、犠牲者1万2,000人。
1960/03/04 12:53:薩摩半島西方沖、M6.1、最大震度4
1960/03/21 02:07:三陸沖、M7.2、最大震度4
---
2004/02/07 92;42UTC:インドネシア・パプア州西部地震、Mw7.3、深さ10km、犠牲者37人。
2004/02/08 08:58UTC:インドネシア・パプア州西部、M6.7、深さ26km
2004/02/23 16:04UTC:ウォリス諸島、M6.3、深さ31km
2004/02/24 02:27UTC:モロッコ北部、Mw6.4、深さ0km、犠牲者630人。
こうして並べても、実際はアフリカ内陸と日本周辺で起きる地震は、関連性が薄いかもしれない。
■深発地震の連鎖?
モロッコの大地震から日本への大きな地震の連鎖は、可能性としてはそう高くない。
距離からしても、今年2月に起きたトルコ・シリア地震よりも低くなるだろう。
むしろ、下記の地震からの流れに着目すべきかもしれない。
2023/08/28 19:55UTC:インドネシア・バリ海、M7.1、深さ500km
過去1900以降にM7.0以上且つ深さ500km以上の大規模な深発地震は、世界で76回起きていた。
1~2年に1回しか起きない計算になる。
では、過去にこのような大規模な深発地震が起きた後で、日本を含めた環太平洋で、どのような地震が続いていただろうか。
過去20年間ほどに遡って、M7.0以上且つ深さ500km以上の深発地震の例を調べてみた。
2002/08/19 11:08UTC:フィジー諸島、M7.7、深さ675km
2002/08/25 03:40:根室半島南東沖、M6.0、最大震度4、深さ44km
2008/07/05 02:12UTC:オホーツク海、M7.7、深さ632km
2008/07/06 18:08:千島列島、M6.1、最大震度5弱、深さ50km
2008/07/08 16:42:沖縄本島近海、M6.1、最大震度5弱、深さ45km
2008/07/21 06:30:小笠原諸島西方沖、M6.0、最大震度1、深さ492km
2008/07/24 00:26:岩手県沿岸北部、M6.8、最大震度6弱、深さ108km
2011/01/01 09:56UTC:アルゼンチン、M7.0、深さ576km
2011/01/10 19:24:硫黄島近海、M6.0、最大震度1、深さ147km
2011/01/13 06:32:小笠原諸島西方沖、M6.3、最大震度2、深さ516km
2012/09/15 19:31UTC:フィジー諸島、M7.3、深さ644km
2012/09/17 04:26:岩手県沖、M6.6、最大震度4、深さ7km
2018/08/24 09:04UTC:ペルー、M7.1、深さ630km
2018/09/06 03:07:北海道胆振東部地震、M6.7、深さ37km
2022/11/09 09:51UTC:フィジー諸島、M7.0、深さ660km
2022/11/14 17:08:三重県南東沖、M6.4、最大震度4、深さ362km
2023/04/14 09:55UTC:ジャワ島北沖、M7.0、深さ597km
2023/05/01 12:22:沖縄本島近海、M6.4、最大震度2
2023/05/05 14:42:能登半島沖、M6.5、最大震度6強
このように、レアで大規模な深発地震が起きた後は、日本を含めた環太平洋などで大きな地震が続くことがある。
■今回も要注意
では、今回のインドネシア・バリ海のM7.1の深発地震の後はどうだったかというと、以下のようにモロッコ地震も含めて大きめの地震やトカラの群発地震が起きている。
2023/08/28 19:55UTC:インドネシア・バリ海、M7.1、深さ500km
2023/09/08~:トカラ列島近海で群発地震
2023/09/06 23:48UTC:チリ北部、M6.2、深さ41km
2023/09/08 09:09UTC:ケルマデック諸島、M6.6、深さ90km
2023/09/08 22:11UTC:モロッコ、M6.8、深さ26km
2023/09/09 14:43UTC:インドネシア・スラウェシ島沖、M6.0、深さ10km
昨日の記事で書いたように、天体配置からはある程度想定内で、昨日あたりから9月末までは世界的に大きな地震が続く恐れがあると月初にnoteマガジンでも書いた通りになっている。
今月中は特に地震に注意を。
※拙著Kindle本。『地震前兆現象のすべて: これだけ知れば大地震から命を守れる』
科学者が書くことと同じ内容を書いても意味が無いので、動物や植物の地震前兆現象に力を入れている。