09/08に発生したモロッコ地震では、これまでに2100人以上の犠牲者が出るなど大きな被害が出ているが、7ヵ月前に起きていたトルコ・シリア地震と距離的にはそう遠くなく、またプレート理論的にも共通する要素があり、予兆的な地震が全く無いわけではなかったことがわかってきた。
■できていたか?
まず、モロッコ地震を予測していた人はいただろうか。
オランダのフッガービーツ氏は、09/05~07に大きな地震を予測していたが、その間に起きたのは09/06のチリM6.2くらいだった。
予測期間が終わった09/08に、ケルマデック諸島M6.6とモロッコM6.8の地震が起きた。
では、このモロッコの地震の発生を示唆するような情報は無かったのだろうか。
■共通要素
昨日も書いた天体配置以外には、考え付くことは一つある。
トルコ・シリア地震では、アナトリア、アラビア、アフリカの3つのプレートの三重点で、有史以降に大地震が度々発生していた。
そして、上記の図にある北アナトリア断層と東アナトリア断層が動いた結果の地震だった。
モロッコ地震の方は、北のユーラシアプレートと南のアフリカプレートの境界近くで起きたものだった。
つまり、両方の地震ともにアフリカプレートが関わっていた。
また、トルコ・シリア地震も北方のユーラシアプレートの活動も影響を受ける地点にある。
■東方・西方へ
トルコ・シリア地震の発生後に、地震の影響が震源から東方にあるだろうと予測したが、その通りになり、ケルマデック諸島、パプアニューギニア、ジャワ島沖、トンガと5月までにM7クラスの地震が続いた。
その間に日本でも、青森県東方沖、沖縄本島近海、石川県能登地方、千葉県東方沖と、M6クラスの地震が続いた。
特に能登半島では犠牲者が出る大きな被害地震となった。
このように、東方への地震連鎖ということはある程度予測していたものだが、逆方角の西方への連鎖ということは、日本から遠くなることもあり、検討する余裕がなかった。
では、今トルコ・シリア地震とモロッコ地震の発生の間に、2地点間あたりで予兆的な地震が起きていただろうか。
トルコは同じアフリカ大陸のすぐ北にあり、距離は4200kmほどであり、影響があったとしても不思議はない。
USGSの機能で、該当の領域で2023/02/06~2023/09/08に起きたM4.0以上の地震を検索すると、下記マップのようになる。
ここで、青字で記入した地震は、2つの大地震の震源間で起きていた地震として、時間軸に沿って、また震源の移動という2つの観点で眺めると、見えてくるものがある。
M4~M5クラスの地震が、トルコから次第に西へと移っていき、通常は地震が少ないアフリカ大陸でも起き始めてくることがわかる。
また、モロッコ北部の海沿いでは、トルコ地震の発生直後の2/12にM4.4が起きていたことも興味深い。
もし自分がアフリカ北部あたりに住んでいたとすれば、トルコの地震の後で何だかこちらでも地震が起き始めたなと、不穏な気分になっていたかもしれない。
もしそこまで気づいていたならば、何らかの地震に対する「備え」をするきっかけにもなっただろう。
トルコとモロッコの地震は、いずれもユーラシアプレートとアフリカプレートという大きな2つのプレートに挟まれた地点で起きたもので、プレート間の連鎖というのもあっただろう。
特にユーラシアプレートという巨大なプレートの枠組みで見れば、西の方で大地震が起きれば、東の端の日本あたりでも大きな地震が続くことは、常に頭に入れておくべきだろう。
※日本ではモロッコのように脆く崩れる家は少ないとしても、大きな家具が「横化から飛んでくる」ような事態は避けなければならない。