【関東大震災100年】関東大震災など大地震の前に見られた「前兆現象」や言い伝え

2023/09/03

関東大震災 巨大地震 地震前兆

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一昨日9月1日の「防災の日」に『デイリー新潮』の記事で、100年前の関東大震災など大地震の前に見られたという前兆現象を各種資料から紹介しているが、次の首都直下地震に備えて知っておくべき知識を紹介する。


■地震前兆現象

一昨日は関東大震災から100年の日で、通常の「防災の日」よりも様々なメディアで大地震や首都直下地震の関連の報道をしている中で、毛色が変わっていたのが09/01の『デイリー新潮』の記事で、関東大震災など大地震の前に動物や気象関連など、どのような前兆現象が見られたかをまとめている。


特に動物の前兆現象の類は、科学者諸氏にスルーされる話題であり、メディアが取り上げたくても「専門家」の意見を聞けない。

それで私にコメント依頼が回ってきたりすることもある。


今回は、一昨日09/01に公開された記事『【関東大震災100年】「富士山近くで稲妻が…」前兆はあった? 資料や記録に残る災害前に起きる異変の数々』で紹介されている前兆現象や言い伝えをまとめてみた。



■鳥類

まず、鳥類の動物異常現象をまとめた。

黒字で私のコメントを付しておく。


◎【関東地震】15日前、カラスの大群が横須賀方面へ移動した。(横浜)

カラスの群れが移動することは日常的に見られることで、よほどの大群でない限りは、このことだけで地震前兆とは決めつけられない。


◎【兵庫県南部】普段見ないコウモリの群れが飛び交った。

特にこれが昼間であれば、異常現象として注意が必要だ。


◎【言い伝え等】地震の前にキジなどの鳥が鳴く(千葉県・山梨県・長野県・宮崎県など)

キジが地震発生の直前にけたたましく鳴くという報告は多く、直前のP波を感知している場合もあるかもしれない。


◎【言い伝え等】地震が起きる前には、スズメ・カラス等の鳥がいなく

なる(富山県小矢部市)

これは鳥類に限らないが、普段ヒトの生活圏内でよく群れている動物が急にいなくなり静かになった際には、地震前兆の可能性を頭に入れておいた方が良いだろう。

たとえば過去のうちの場合でも、天井裏で騒いでいるネズミが急におとなしくなったという例もあった。


■魚類・鯨類

◎【兵庫県南部】前日にタイが大漁になり、シャコが大量に浮き上がって来た。(淡路島)

魚類の大漁または急に不漁になるということは、魚群が通常見られない海域に移動してくるか、または通常その季節に生息する海域から移動するということで、これが海洋型大地震の前兆と見られる例は多い。


◎【東北地方太平洋沖地震】1週間前に茨城県鹿嶋市の海岸にイルカの群れが打ち上がった。

よく知られた例では、2011/03/04夜に茨城県鹿嶋市の下津海岸で、52頭のイルカ(カズハゴンドウ)が打ち上げられているのが見つかった。

その1週間後の2011/03/11 14:46に、三陸沖でM9.0、最大震度7の東北地方太平洋沖地震が発生した。

地震前兆と断定できないものの、これまでの研究では、震源までの距離が約200kmでこの地震規模では、前兆だった可能性は十分にあり得るだろう。


■昆虫・爬虫類

◎【関東地震】15日前、アリが埋立地の各所に穴を作る活動が異常で新聞でも報道された。(品川区)

このような例は大地震の前兆例としてはあまり見られず、判断が難しい。


◎【兵庫県南部】前日、冬眠中のヘビが這い出してきた。

非常によくあるパターンで、ヘビに限らず、冬眠中の動物が冬季に異常気温など以外で目撃された際には注意が必要となる。


■気象など

◎【言い伝え等】イワシ雲が出ると地震が起きる(秋田県鹿角市)


いわし雲に限らず、単一の現象では通常の気象現象と退けられても仕方ないが、たとえば漁民の間でそのような言い伝えがあった場合は、それなりの長年の経験を尊重して情報を扱うことも大切だろう。


◎【関東地震】1時間前、ゴォーという大風が吹いて来るような音がした。(練馬区)

◎【関東地震】15時間前、蒸し暑い晩に、上下に走る稲光が幾筋も光り、夜中続いていた。(横浜市)

◎【関東地震】2~3日前、晴天の午後、富士山の上あたりに電が横に走り続けた。(港区赤坂)

大地震発生前に震源域付近で雷が発生していたという報告が見られるが、何らかの地震前兆としての電磁波の発生と何らかの関係がある可能性が考えられるという研究がある。

大地震発生の前後に風雨や雪が見られるということも、よくあることだ。


◎【言い伝え等】井戸水が引けば津波が来る(岩手県普代村・高知県室戸市)

津波の前兆というより、大地震の前後に井戸水の水位の変化が見られることはよく知られていて、そのような研究もおこなわれてきた。


■地形など

◎【関東地震】海水浴ができない海で珍しく遠浅になり、海水浴場になった。(小田原市)

◎【関東地震】館山海岸で土地が隆起し縞が陸続きになった。(千葉県)

私の「バイブル」の1冊『南海地震は予知できる』(中村不二夫)などによると、昭和南海地震の前にも顕著な潮位の変動が見られたという。


◎【関東地震】5~10分前、遠くから地鳴りの音がした。(新宿区)

これも良く見られるパターンだが、地鳴りがしたからといって必ず大きな地震の前兆であるとは限らない。


■「前兆現象」の判断

当たり前と言われるかもしれないが、ここに挙げたような単一の事象だけで地震前兆かどうかを判断することは賢明ではなく、では他にどのような現象が見られるかを探ることが地震予測の精度を上げることにつながる。


たとえば動物前兆でも、「クマの出没」は多すぎて、それだけでは地震前兆とは到底いえない。

だが、たとえばクマが人に危害を加えたとか、普段は滅多に出没しない街中などで目撃が多発したなどの場合は、多少警戒を強めることになる。

更に同地周辺で他の地震前兆かもしれない事例が複数見られるならば、SNSなどで注意喚起するといった行動が意味を持つようになるかもしれない。


…と書いた矢先に…。

昨日09/02 20:08頃に、新潟県上越市でクマが人を襲ったという事案が発生した。



更に、今朝09/03 05:30前、新潟県南魚沼市長崎の畑で、70代夫婦がクマに襲われた。

能登半島の地震がまだ収まっていないだけに、他に周辺で前兆現象がないか、調べたくなる。



私はnoteで『地震前兆百科~サバイバルのための必須知識』という有料コンテンツシリーズを公開している。


「陸上の動物:イヌ・オオカミ」や「電気・電子製品の異常動作など」といった区分けでノートを発行していて、今後も様々なコンテンツを追加していく予定でいる。

ここに収めた単体のノートを購入することもできるが、全体をまとめて購入すると価格的に安くなる。

たとえば家でネコを飼っている人は、本シリーズの「陸上の動物:ネコ」のノートで、役に立つ情報があるかもしれない。



※阪神・淡路大震災の「前兆証言」を1500件以上集めた貴重な資料。

それが、なぜこんな安価で売られているかというと…古書店あるあるで、大型本は「邪魔になる」から?







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ノンフィクションライター、地震前兆研究家、超常現象研究家、ブロガーの百瀬直也が地震・災害などを扱うWebサイト/ブログ。

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