【noteマガジン:大地震・災害ウォッチマガジン】『地震雲』は存在するか?(1)否定的・肯定的側面から実例も含めて考察する
■はじめに
私は長年「地震前兆研究家」を名乗って研究を続けてきたが、「地震雲」については、常に慎重な立場をとっている。
慎重になる理由としては、過去の自分の勉強不足や失敗から学んだことも含めて、あまり曖昧なままで安直に肯定しないようにという自戒もある。
世間で一般的に「地震雲」が語られる場合、通常の気象雲を地震雲と見誤ったりすることが非常に多い。
気象庁の公式サイトで、下記のような記述がある。
「『地震雲』が無いと言いきるのは難しいですが、仮に『地震雲』があるとしても、『地震雲』とはどのような雲で、地震とどのような関係であらわれるのかが科学的な説明がなされていない状態です」
どこかの気象学者のように、はじめにありき的な一面的な響きがなく、好感が持てる。
だが、池谷元伺大阪大学名誉教授(故人)によると、他の地震前兆現象と同様に、地震雲前の地中の岩石破壊により発生するパルス電磁波によって説明がつくという。
この時発生する電場によって大気中で水滴が生じ、地震雲が作られるというのだ。
このことを証明するために、池谷氏は実験室で地震雲を発生させる実験も行い、成功させている(後述)。
賛否両論ある地震雲について1回で書き尽くすのは到底無理なので、今回は地震雲の探求の入口的に、「フェイク地震雲?」や、過去に私が撮影した雲の写真のうち、地震の前兆雲である可能性があるものの一部を紹介する。