08/09にJAMSTEC発表の黒潮の長期予測では、10月上旬まで黒潮大蛇行が続きそうだが、その頃に渦がちぎれそうになっているのが気になるところだ。
■黒潮大蛇行
自説では、南海トラフ巨大地震など四国~東海の南沖の大地震は、黒潮大蛇行が発生中は発生抑制される。
1987年8月に黒潮大蛇行が発生して以来、そろそろ6年が経過するが、国立研究開発法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)の08/09発表の最新の長期予測では、大蛇行は10/10頃まではまだ継続すると予測している。
だが、その10/10頃の長期予測を見ると、大蛇行の渦がちぎれかけているように見える。
そのへんの解説がないので、まだ終わる可能性は低いということだろうが、気になるところだ。
というのも、これまで散々研究してきた結果では、南海トラフに限らず、大蛇行の渦ができる周辺の海域では、非大蛇行期になると大きな地震が多く起きる傾向があるからだ。
たとえば、私のnote定期購読マガジン『大地震・災害ウォッチマガジン』の7月版だけで最新の研究結果を公開しているが、1919/01/01~2023/06/30に発生したM5.0以上の地震では、黒潮大蛇行期に発生した地震は顕著に少なかった。
それ以前の、1年前に同マガジンで公開したノートでは、南海トラフ巨大地震の東海・東南海・南海地震が発生する震源域だけのデータを使用して集計した。
すると、これら3つの震源域で発生したM5.0以上の地震では、より顕著な結果となった。
つまり、黒潮大蛇行期に発生した地震は、全体の0~3分の1にすぎなかった。
これで、かなり自説に自信が持てた。
もっとも、これは私の発見ではなく、元気象庁・岡田正実氏の先駆的な研究の結果によるものだが。
■南海トラフ巨大地震の発生は?
JAMSTECの予測に戻って、実際に10月上旬まで黒潮大蛇行が続くとなれば、今年中に南海トラフ巨大地震が発生する可能性は非常に低くなる。
前述の、渦がちぎれるようになれば黒潮大蛇行の存続が危ぶまれるが、その点は今後慎重にウォッチしていきたい。
■イオノグラム注意
この記事を投稿直後にイオノグラムをチェックしたら、結構大きい地震が来そうな波形となっている。
もっとも、明日あたりまでに複数震源で地震があるのかもしれないが、念のため注意を。
※南海トラフ巨大地震の発生と黒潮大蛇行の関係などについては、拙著Kindle本『南海トラフ巨大地震はいつ起きるか?』で詳しく解説している。