『AERA』008/28号で、『首都直下地震、被害が大きいのは「山手線外側の木密地域」』と題した記事があり、ここのマップを見ると、東京都で特にどの地域が危ないのかが一目でわかる。
この概要を理解すれば、他の地方でも同様の考え方で、自分が住む地域の地震発生時の危険度がある程度わかるかもしれない。
■関東大震災
該当のAERAの記事は、今日2023/08/23に朝日新聞社サイトで公開された。
大正関東地震(関東大震災)から、来月09/01で100周年になる。
このアエラの記事では、いま東京で大地震が襲うと、どのへんで被害が大きくなるかを専門家の意見を聞きつつ予測している。
この地震はM7.9の規模で、発生時間が11:58と、ちょうど昼食の準備時であることと台風通過による強い雨風もともない、各地で火災が同時多発的に発生した。
東京は焼け野原となり、犠牲者・不明者は10万人を超えた。
当時の東京都の人口は約400万人だったといわれ、現在の1400万人の約30%だった。
つまり、現代の人口に換算すると35万人くらいの犠牲者・行方不明者が出たことになる。
■被害想定マップ
この記事では、東京都が今年3月に公開した「東京被害想定マップ」をもとに、「都心南部直下地震」(M7.3)で想定される各区の震度分布をまとめたマップを示している。
下記のマップでは、最も色が濃いのが「震度7」で、最も色が薄いところでも震度5弱の揺れとなるという想定だ。
これを見ると、東京都23区内は大半が「震度6強」となる想定で、他に北西の区あたりは「震度6弱」となっている。
ここ小平市も、同じ「震度6弱」だ。
私が今生で経験した最大の震度は「震度5弱」なので、それよりもずっと大きな揺れということになる。
もっとも、私は起震装置では最高の「震度7」も体験済みなので、まったく未経験の人よりは実感としてわかっている。
■山手線外側の「木密地域」
このアエラの記事では、平田直(なおし)東大名誉教授(地震学)が、こう語る。
「この10年で古い建物から耐火性のある建物に置き換わり、耐震化率は82%から92%まで上がり東京の住宅はより安全になったと言えます。しかし、残り8%が課題。震度6弱以上で倒壊する可能性が高く、いったん倒れれば火災が発生します」
そして、23区内で想定の犠牲者が多いのは、足立区、大田区、世田谷区、江戸川区の順となる。
上記マップで、区名を赤線で引いてあるが、すべて「震度6強」以上の揺れが襲う想定となっている。
この想定は、区の人口と、倒壊して燃えやすい古い木造住宅が密集した「木密地域」の多い区だと平田氏は語る。
上記マップで、山手線の線路の位置をピンク色で示してある。
防災というと、「帰宅困難」や「食料備蓄」が話題となるが、「命が助かる」ためには、考える優先順位が違うということは、常々警告している通りだ。
「住宅の耐震性」も重要だが、それを言うならば何よりも「地盤の強さ」を優先して住む土地を考えるべきだ。
■軟弱地盤の上に住まない
阪神・淡路大震災(1995/01/17)で、特に建物倒壊などの被害が多かった土地は、大昔は海だったり、「旧河道」つまり川だったところだという。
下記の写真はその大地震で有名なものだが、高速道路が倒壊してしまっている。
写真コード:a032、エリア:東灘区、カテゴリ:道路
【題名:深江本町阪神高速倒壊現場、作者:神戸市(CCライセンス 表示2.1 日本)】
なぜこうなったかというと、可能性としては、昔は砂浜か何かで、軟弱な地盤とそうでない地盤の境目だったために片側に傾斜してしまったのかもしれない。
以前に建設の専門家から聞き出した話では、次の首都直下地震では、軟弱地盤の上に建てられた首都高の高架でも、このような倒壊が起きる可能性があるという。
ご自分が住む土地のハザードマップなどを見て、今一度地盤の強弱を確認してみると良いでしょう。
※少し古いが、大地震発生時の「地盤」の大切さを教えてくれる。
阪神・淡路大震災の経験をもとに、今後の首都直下地震の被害を考えるためにも大いに参考になる。