今日05/23発行の『まぐまぐニュース』で、民間地震研究機関「ブレイン」代表の内山義英氏による記事があるが、ここでは最近の千葉県南部や八丈島近海のM5クラスの地震が首都直下地震につながる可能性を示唆しているので、この説を過去の地震データとともに自分なりに検討したい。
■まぐまぐニュース
今日05/23発行のまぐまぐニュースの『超巨大地震の発生間近か?地震のプロが震え上がった「あの震源」』と題した記事について。
このブログ記事のタイトルは私が言っているのではなく、これから紹介する民間地震研究機関「ブレイン」代表の内山義英氏によるものだ。
私はこのメルマガではないが、地震予知情報を配信している「ブレイン地震予報」の有料定期配信を購読している。
内山氏は地震学者ではなく元は構造技術者で、竹中工務店などで勤務した経歴があり、その後2012年に静岡地震防災研究会を設立した。
そして現在は民間地震研究機関「ブレイン」代表として地震予測を行っている。
■トルコ・シリア地震
この記事では、4月までは比較的静穏だった日本の地震活動が、5月に入って急に活動が活発化したとある。
そして5/5に石川県能登地方でM6.5などの地震が発生したが、2020年12月から始まったこの震源域の群発地震は、地下数kmに大規模な水塊が発生してせり上がる「水噴火」と呼ばれる現象と考えられるという。
その後も、5/6の青森県東方沖M6.0、5/11の千葉県南部M5.5、トカラ列島近海M5.3など、5/14~15の八丈島近海M5.0~M5.9など、強い地震が続いている。
昨日05/22からの新島・神津島近海M5.3などの群発地震については触れていないところを見ると、その前に執筆した記事なのだろう。
これらの地震が相次いだのは、02/06のトルコ・シリア地震M7.8が関係しているという。
この地震で東アナトリア断層が最大9.1mも北東方向へズレ動いたのがユーラシアプレートに影響を与えて日本の地震多発につながったのではないかと。
私もこの地震発生直後から同様の考えをブログなどで書いていたが、あの地震から3ヵ月以上経った現在も日本の地震活動に影響を与えているという考えのようだ。
■首都直下地震
次に内山氏は、5月に入ってからの強い地震のうち、05/11の千葉県南部M5.5や05/14の八丈島近海M5.9などの群発地震が、今後さらに大きな地震に結び付く可能性を示唆する。
東日本大震災で割れ残った房総半島とその沖合で地震活動が活発化していることを考慮すると、『「首都直下地震はいつ発生しても不思議ではない」との認識と気構えを持ち、必要な準備を進めていくこと』が重要だと語っている。
では、近いうちに実際に南関東直下で大きな地震が起きる可能性はあるだろうか。
ここで、自分独自の研究分野である海洋現象と地震の関係に絡めて、過去の関東地方で起きた地震を解析してみる。
■南関東の地震と海洋現象
まず、下記の条件で地震を抽出して、エルニーニョ・ラニーニャ・黒潮大蛇行と地震発生の関係についてみた。
1919/01/01~2021/12/31:関東地方・M6.5以上 全44回
※「%」は各海洋現象の発生期間の割合で、半分弱は通常期となる。
・エルニーニョ:03回 25% 非常に少ない
・ラニーニャ :12回 28% 普通
・通常期 :29回 47% 多い
・黒潮大蛇行期:18回 36% やや多い
・非大蛇行期 :26回 64% やや少ない
この夏からエルニーニョ現象が発生する可能性が高いと予測されているが、エルニーニョ期には関東の大地震が非常に少なくなる傾向が見られる。
そして、現在のようなエルニーニョもラニーニャも発生していない期間が多くなる。
次に、より多くのデータを用いて解析するために、地震の規模をM5.5以上に下げて、同様の集計をしてみる。
1919/01/01~2021/12/31:関東地方・M5.5以上 全149回
・エルニーニョ:17回 25% 非常に少ない
・ラニーニャ :61回 28% 非常に多い
・通常期 :71回 47% 普通
・黒潮大蛇行期:045回 36% やや多い
・非大蛇行期 :104回 64% やや少ない
結果はほぼ同様のようだが、M5.5以上の場合はラニーニャ期に多くなるという結果となる。
もっとも、このデータは関東地方の内陸と沖合で起きる地震を区別していないために、このような結果となったのかもしれない。
内陸が震源の地震だけ扱うと、それほど海洋現象の影響を受けないという結果が出る可能性がある。
黒潮大蛇行については、自説では南海トラフあたりの大蛇行の渦ができる海域に近いところで起きる地震は、顕著に黒潮大蛇行が起きていない時に増えることがわかっている。
だが、関東ではそれが逆転するのが興味深いところだ。
このように、この夏にエルニーニョ現象が発生すれば、首都直下地震の発生の可能性は低くなるが、これはあくまでもデータから見た可能性であり、絶対起きないというわけではない。
内山氏の説も参考にして、しばらくは関東で起きる地震の様子を見ることにしたい。
トルコ・シリア地震の後でずっと書いているように、特に環太平洋の西半分は今後も要注意だ。
今日もニューカレドニアでM6.1の地震が起きていた。
今日は2本目を書くかどうかわからないが、強烈な耳鳴りがまだ続いている。
※拙著Kindle本シリーズの第1弾。
本当に不思議ちゃん。