『女性セブン』で、南海トラフ巨大地震が発生したらどうなるかについての記事があり、富士山噴火との連動もあり得るとしているが、これは自説でも過去事例からも十分に起こり得ることで、そのような連動ケースが過去に起きた事例を紹介して可能性を考えてみる。
■女性セブン
先週木曜日発行の『女性セブン』2023年3月16日号で、「30年以内に70%の確率で起こるとされる南海トラフ地震 過去の例では49日後に富士山噴火も」と題した記事が掲載された。
この記事で、東京工業大学教授の山中浩明(地震工学)が、こう語る。
「現時点でもっとも起きる可能性が高いのは『南海トラフ巨大地震』。M8〜9の大地震が今後30年間のうち70%程度の確率で起こるとされています」
また、1707年10月に南海トラフ巨大地震である宝永地震が起きたが、その49日後に富士山が噴火したことを強調している。
このような地震と噴火の連鎖は、過去データを解析してきた結果として、十分に起こり得ると考えている。
■大災害シリーズ
南海トラフ巨大地震、南関東直下地震、富士山噴火が比較的短期間(20年以内くらい)に連続して起こることが、過去の日本で起きていた。
このように大災害が連続して起きることを、私は「大災害シリーズ」と呼んでいる。
このうち、富士山噴火と南海トラフが絡むものは、過去に5回あった。
それらを以下に示す。
◎延暦期 20年間
【富士山】781年07月31日:噴火
【南海】797年08月14日:南海トラフ地震があった可能性
【富士山】800年04月11日:延暦大噴火、VEI3
◎貞観期 24年間
【富士山】864年07月02日:貞観大噴火
【三陸沖】869年07月09日:貞観地震、M8.3~8.6、犠牲者約1,000人。
【南関東】878年10月28日:相模・武蔵地震、M7.4、犠牲者多数。
【南海】887年8月22日:仁和地震(全域説)、M8.0〜8.5。
◎永保期 17年間
【富士山】1083年4月17日:富士山噴火
【南海】1096年12月11日:永長地震(全域)、M8~8.5、犠牲者1万人以上。
【南海】1099年02月16日:康和地震(南海地震?)、M6.4~8.5。
◎永正期 17年間
【南関東】1495年09月03日:相模トラフで大地震・津波
【日向灘】1498年06月30日:日向地震、M7~7.5、犠牲者多数。
【南海】1498年09月11日:明応地震(東海道沖)、M8.2~8.4、犠牲者3~4万人以上
【富士山】1511年08月:富士山噴火
◎宝永期 4年間
【南関東】1703年12月31日:元禄地震、M8.1~8.2、犠牲者4,900〜2万人以上。
【南海】1707年10月28日:宝永地震(全域)、M8.4~8.6
【富士山】1707年12月16日:宝永大噴火、VEI5。
これらを発生した順序別に集計すると、以下のようになる。
富士山→南海トラフ:2回
南海トラフ→富士山:2回
富士山→南関東→南海トラフ:1回
南関東→富士山:2回
富士山噴火と南海トラフ巨大地震で、どちらが先に起こるということは、過去の事例からの推測は難しいようだ。
だが、宝永期のように、南関東直下→南海トラフ→富士山の連鎖が4年間という短期間で起きた例もあり、この3つの連鎖の顕著なケースだろう。
■恐怖の連鎖
なんといっても無視できないのは、宝永期の南海トラフ巨大地震の49日後に富士山が大噴火(VEI5)を起こしたことだ。
この連鎖が「たまたま」起きたわけはない。
東日本大震災を貞観地震に例えると、この時は富士山の噴火は先立たなかったが、18年後に南海トラフ巨大地震が起きていた。
どちらが先に起こるかの予測は難しいが、どちらかが起これば連鎖する可能性を十分に考えておくべきだ。
そして、一たび連鎖が起これば、西日本から関東にかけて大惨事となり、大国難となる。
更に原発事故でも起これば、本当に「日本の終わり」に近い事態となるのではないか。
■地震に注意
※拙著Kindle本『南海トラフ巨大地震はいつ起きるか?』