先日放映されたNHKスペシャル「南海トラフ巨大地震」で、専門家諸氏が口を揃えて警告する「最悪のシナリオ」とは、過去の事例であったような「半割れ」の状態だという。
そこで過去の地震データを解析して、半割れの何が恐ろしいのかを検討してみた。
■半割れ
現在放映中のNHKスペシャル「南海トラフ巨大地震 第2部 “最悪のシナリオ”にどう備えるか」
2023/03/05放映の分では、「半割れ」というケースを紹介している。
ここで、NHKが地震の専門家諸氏に取材して、南海トラフ巨大地震の「最悪のシナリオは?」と尋ねた。
すると、専門家たちは口々に同様の答えを返した。
それが「半割れ」の状態だという。
過去の南海トラフ巨大地震は、1回起きて終わりというパターンではないことが多かった。
たとえば1854年12月23日の安政東海地震(M8.4)では、津波も含めて2千~3千人の犠牲者を出した。
だが、それが終わりではなかった。
翌日12月24日、今度は西方で安政南海地震(M8.4)が発生し、津波により同じ位の犠牲者を伴う被害地震となった。
この1回目の地震が「半割れ」の意味するところで、たしかに被害地震として「最悪」のケースだ。
■まだ終わりではない
3月4日放送のNHKスペシャルのドラマ「南海トラフ巨大地震」では、下記マップのような震度分布図を想定した。
このように、四国などで震度7を記録した地域が多く、M8.9という巨大地震が起きたという想定だった。
だが、これは「半割れ」で、これだけでは終わらず次に東方で同様の地震が襲った。
過去の南海トラフ巨大地震では、1回だけ揺れる「全割れ」のパターンもあり、過去数回の巨大地震では、下記の表のようになっていた。
昭和東南海地震のように、「半割れ」から2年経ってから昭和南海地震が起きた例もある。
このように、特に南海トラフでは、一度の巨大地震の後で「これで終わり」と思わないことだ。
■双子地震
別の報道からの情報になるが、ある専門家は、大地震の9割方は「本震→余震」と続くパターンだが、残り1割では「双子地震」となるという。
つまり、同程度の規模の大地震が、ほぼ同時あるいは短期間に連動する地震のことで「双発地震」とも呼ばれる。
前述の安政東海・南海地震も広義には双子地震と呼ばれることもある。
以下に双子地震の例を示すが、うち1つは3回連続して起きた「三つ子地震」だった。
◎双子地震の例
・寛文近江・若狭地震、犠牲者500人余
1662/06/16 時間不明、M7.5程度
1662/06/16 時間不明、M7.5程度
・島原地震、犠牲者26人
1922/12/08 01:50、M6.9、最大震度5
1922/12/08 11:02、M6.5、最大震度5
・男鹿地震、犠牲者27人(三つ子地震)
1939/05/01 14:58、M6.8、最大震度5
1939/05/01 15:00、M6.7、最大震度5
1939/05/02 01:05、M6.5、最大震度3
・今市地震、犠牲者・不明者10人
1949/12/26 08:14、M6.2、最大震度4
1949/12/26 08:24、M6.4、最大震度4
・熊本地震、犠牲者273人
2016/04/14 21:26、M6.5、最大震度7
2016/04/16 01:25、M7.3、最大震度7
このように、一度起きて終わりと安心してはならず、2回目、3回目と続くこともあるということは覚えておかなければならない。
更に、海外の例を示せば、2/6に発生したばかりのトルコ・シリア大地震も、同じ日にM7.8とM7.5の大地震が続けて起きた双子地震の例だった。
■半割れの可能性を考慮すべき理由
「半割れ」を伴う地震のリスクとしては、NHKの記事では以下のようなことがあるとしている。
・2回目の揺れで更に建物損壊などが広がる。
・被災地への救助の遅れが発生。
・経済的ダメージが大きくなる。
トルコ地震の場合でも、1回目の地震でダメージを受けたが建物の損壊を免れていたところが、2回目の地震で損壊したという例もあったかもしれない。
このように、全体のうちでは1割程度としても、このように双子地震・三つ子地震と続く例もあるということは、忘れないでおきたいものだ。
■関東まだ注意
今日1本目の記事で書いた強烈耳鳴りなどの地震前兆、まだ対応する地震が関東圏で起きていない。
いつも書いているように、こういう「揺れ揺れ詐欺」になりかけている場合は、得てして想定していたより大きめの地震が来ることも多い。
強烈な耳鳴りは、最初はセミ鳴きだったが次第に金属音的になって、益々強くなってきた。
21:30時点の最新のイオノグラムを見ると、関東よりもむしろ稚内が強く、もしかすると東北あたりで大き目の地震もあるのかもしれない。
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