3/10の気象庁の発表によると、太平洋西部で海水温が高くなる「ラニーニャ現象」が終息したといい、夏には太平洋の東側で海水温が上昇する「エルニーニョ現象」が発生する可能性があるという。
このような黒潮を含めた海洋現象の状況によって、日本の大地震の発生にどのような影響があるかを考えてみたい。
■ラニーニャ現象終息
3/10に気象庁が発表した「エルニーニョ監視速報」では、ラニーニャ現象が終息したと見られるという。
エルニーニョ現象は、太平洋の南米沖あたりの海域で海水温が高くなる現象で、逆に低くなる現象はラニーニャ現象と呼ばれる。
1月か2月頃の気象庁の予測では、冬にラニーニャ現象が終息する可能性が高いとなっていたが、その通りになった。
現在の大平洋の海水温の状況は下記マップの通りで、日本近海はラニーニャ現象発生中はもっと赤くなるのが、低温を示す青色が目立つようになっている。
この春(3月~5月)は、平常の状態が続く可能性が70%と高いという予想となっている。
また、夏になると、平常の状態が続く可能性とエルニーニョ発生の可能性が50%ずつと半々の確率になっている。
もしエルニーニョが発生すると、日本は冷夏になる傾向があるといい、一般的にはその方が歓迎されるだろう。
■大地震発生の可能性
ここからが私の独自の研究領域となる。
世界で起きる大地震のうち、主に海溝型の地震は、自説では海洋現象の状態に大きく影響を受ける。
その海洋現象とは、前述のエルニーニョ、ラニーニャ、そして黒潮大蛇行などがある。
これらの詳細は、Amazon Kindle版として出版している『大地震は海洋現象で予測できる』の【1】~【3】で詳細に解説している。
【1】『地震と海の密接な関係』
【2】『世界の大地震発生の傾向』
【3】『南海トラフ巨大地震はいつ起きるか?』
ここでは、さわりだけ書いておくと、エルニーニョ/ラニーニャ期に日本近海で大地震が多くなる、または少なくなるエリアは以下の通りとなる。
◎ラニーニャ期に大地震が多い
・福島県沖
・茨城県沖
◎エルニーニョ期に大地震が少ない
・三陸沖
・茨城県沖
◎黒潮大蛇行期に多い
・福島県沖
◎黒潮非大蛇行期に多い
・南海トラフ巨大地震
これらはごく一部であり、上記のKindle本ではより多岐にわたる震源域で大地震の発生と海洋現象の影響について書いている。
たとえば2022年2月と2023年3月にM7クラスの福島県沖地震が発生したが、いずれもラニーニャ現象が発生中だった。
これらの私の研究結果の通りならば、今春以降は福島県沖での大地震発生の可能性は低くなることになる。
ただし、これはあくまでも可能性であり、ラニーニャが終われば絶対に大地震が起きないわけではない。
■黒潮大蛇行
次に、現在の黒潮大蛇行の状況と今後の予測はどうなっているかというと、「黒潮親潮ウォッチ」サイトの3/17発表の長期予測を見ると、「大蛇行は継続する予測」となっている。
このため、南海トラフ巨大地震発生の可能性は、少なくとも春までは非常に低くなるだろう。
5月半ばあたりには、下記の予測図のように、大蛇行がちぎれそうになるが、実際に千切れるまでは行かないだろうという。
たとえちぎれないまでも、上記のような状態になれば大蛇行の渦の力が弱くなるということで、それが周辺の気温などに影響は与えるかもしれない。
※海洋現象シリーズとは別に、こちらの地震前兆現象全般に関する本も発行中。