1/16に、地震動を伴わないスロー地震と海溝型巨大地震との関係についての講演会が和歌山県で行われたが、そこで南海トラフのひずみが蓄積する仕組みを解明できたという。
■南海トラフのスロー地震
1/16、地震動を伴わないスロー地震と海溝型巨大地震との関係についての講演会が和歌山県串本町で行われた。
発表者は国立研究開発法人建築研究所の北佐枝子国際地震工学センター主任研究員。
それによると、海溝などから沈み込んだ海洋性プレート内で発生するスラブ内地震とスロー地震の関係を調べ、南海トラフの想定震源域でひずみが蓄積している仕組みを見いだすことができたという。
日本列島では、内陸・海溝型・スラブ内など揺れが瞬間的な4タイプの地震の他に、スロー地震が起きている。
最近の研究で、スロー地震(ゆっくりすべり、slow slip)が海溝型巨大地震の準備過程の一つであることが分かった。
■ひずみの蓄積
北氏は、「専門とするスラブ内地震を使ってスロー地震を研究すれば、スラブ内地震で海溝型巨大地震の準備過程を見ることができるのでは」と考え、10年前から研究を続けている。
そして、紀伊半島は深部低周波微動とスロースリップの2タイプのスロー地震が発生して、半年周期でこのスロー地震が同時発生するのが特徴だと説明した。
下記の図は、北氏の講演資料から借用して私が文字を追記したもので、後述するYouTubeで見ることができる。
ここで、「スラブ内地震」というのは、たとえば南海トラフならばフィリピン海プレートがユーラシア(アムール)プレートの下に沈み込む部分で起きるもの。
これに対して、スロー地震は、2つのプレート間で起きるゆっくりとした地震であり、通常の地震のような破壊活動を伴わない。
■巨大地震発生タイミング
スラブ内地震の複数の活動が、スロー地震の発生するタイミングの前後で変化していることを北氏は発見した。
これは、地殻流体(温泉など)がスラブ内からスロー地震が起きるプレート境界へ移動していることが原因だという。
スラブ地震が起きた後、より浅い南海トラフの想定震源域との間の領域でスロー地震が起きて、南海トラフの想定震源域でひずみが蓄積している様子もわかったという。
■温泉と地震
以上は難解だが、下記のYouTube動画上の北氏の講演内容を聞けば、もう少し理解できるかもしれない。
このように、スラブ内地震とスロー地震の連動は、温泉などの「地殻流体」が橋渡しをしているという。
つまり、私の現時点での理解では、温泉の湯量が増えたり減ったりする現象も、南海トラフ巨大地震のようなスラブ内地震の発生前後に見られる可能性もあるということではないか。
たとえば、昭和東南海地震(1944/12/07)の発生時に、湯峯温泉の沸出量が減少したという。
また、その逆に地震の前に温泉の湯量が減少したり枯渇したという例もよく見られる。
この北氏の講演内容をよく見て、研究内容を把握して、南海トラフ巨大地震の発生時期の予測に役立てたいと思う。
このように南海トラフ巨大地震の発生は、スロースリップの発生に大いに関わっているため、この研究の動向を常に見守ることが非常に重要になってくるだろう。
※私の作業部屋は他の家族がいるところより寒くて、USB電熱スリッパを履いているが、それでも手が冷えるので、今度はUSB電熱手袋を注文してみた。