今日11月5日は「世界津波の日」で、津波防災を真剣に考えるための日となっているが、先日発表された海外の論文で、インドネシアで巨大地震が発生し最大34mの大津波が襲う可能性があると発表されたので、そのことも紹介する。
■「世界津波の日」
「世界津波の日」は、7年前の2015年12月に国連総会で制定された。
この日が決められたのは、安政元年(1854年)11月5日に安政南海地震による津波が発生したことに由来している。
有名な「稲村の火」の逸話だ。
当時、紀伊国広村(現在の和歌山県有田郡広川町)の高台に住む庄屋の五兵衛が、地震の揺れを感じたあと、海水が沖合へ退いていくのを見て津波の来襲に気付いた。
祭りの準備に心奪われている村人たちに危険を知らせるため、五兵衛は自分の田にある刈り取ったばかりの稲の束(稲むら)に松明で火をつけた。
村人たちは火事だと思い、消火のために高台に集まったが、その眼下では津波が押し寄せていた。
五兵衛の機転と犠牲的精神によって村人たちが津波から守られたという話だ。
■安政南海地震
安政南海地震は寛永7年11月5日に発生したとされるが、グレゴリオ暦では1854/12/24となる。
安政東海地震の翌日(32時間後)に発生したM8.4と想定される巨大地震で、連日の同規模の巨大地震と津波の発生となった。
個人的には、なぜ12月24日にしなかったのかという疑問が残る。
だが、その日はキリスト教ではクリスマスイブであり、大災害のことなど考える日ではないということなのかもしれない。
12月は過去に南海トラフ巨大地震が最も多く発生していた月であり、その意味でも12月に津波防災の意識を高める良い機会となると思うのだが。
■インドネシアで大津波
話は変わって、11/2の報道では、英ケンブリッジ大やインドネシア気象当局などのチームが、インドネシアでM8.9の巨大地震が発生し、スマトラ島南東部やジャワ島西部で最大34mの大津波が起きる可能性があるとの論文を発表した。
いつという時期は公開されていない。
10月30日付で専門誌ナチュラル・ハザーズに発表された論文によると、チームは2009年4月~2020年7月のデータから、M4以上の地震1082件の震源分布図を作成して、津波の高さを分析した。
巨大地震によって津波が到達すると想定されるエリアは、下記マップのスマトラ島とジャワ島南岸の赤で示された部分だ。
過去にインドネシア付近で津波が発生した地点は、下記マップの通り。
基本的に、津波が日本にまで到達する可能性は非常に低いが、2004年のスマトラ島沖地震津波では、インドネシアに観光で訪れていた日本人など外国人観光客の多くも被災し亡くなった。
津波というものを良く知らない国の人々もいた。
■津波の被害に遭わないために
津波被害に対する最大の防御策は、書くまでもないかもしれないと思うほどに、非常に分かり切ったことだ。
それを以下にまとめる。
(1)津波が到達すると想定される地域に住まない。
(2)M7クラス以上の大地震が発生したら避難する。
(3)津波警報が発令されたら必ず避難する。
(4)安政東海・南海地震のような「双子地震」や、より大規模な地震が続く例もあり、その後の津波発生の可能性に十分考慮して生活する。
だが実際は、特に(1)に関しては、多くの人間はある意味で土地にしがみついて生きているので、それが非常に困難なこととなる。
しがみついているというと言葉は悪いが、これは日本人に限らず、たとえば最近ではウクライナの人々も、危険とはわかっていても祖国を離れることを躊躇する声が多く報道されている。
人は誰も、自分が生まれて長く住んだ土地には思い入れがある。
そうはいっても、やはり自分たちだけでなく子々孫々生き残れるかどうかを最優先で考えるべきだと思うのだ。
■食健三昧ブログ
『【今日の食卓】所沢「磯丸水産」で夫婦で「蟹味噌甲羅焼」にハマり中~「イカの浜焼」や「一口贅沢こぼれ寿司」も美味』
※被災時の情報収集手段といえばラジオだが、テレビの方が情報量が多いのは言うまでもない。
ただし選択時にはラジオ以上にチェックすべきことが多くなる。