【再掲】3年前の2018/10/19に掲載したブログ記事を再掲するもので、この時はTECマップが異常な値で、国内で大きな地震が起きるサインが出ていたが、その後にどのような地震が起きたかを検証した結果を追記する。
■TEC値が異常
昨日は大きめの地震の前に高くなると言われるTEC値(電離圏の全電子数)が異常な高さを示していたので、数日間は地震に注意が必要だ。
以下に、過去の大きな地震の前のTEC値データを示して、地震との関連性を見ていくことにする。
■TEC値とは
地球の上空の大気中には電離圏という層があり、イオンと自由電子が大気の分子・原子に混じって多量に存在する。
特に電波の伝わり方に影響を及ぼす電子が、高度約60km以上の層に高い密度で存在しているが、この領域を電離圏と呼ぶ。
【画像】NICT電離層ワーキンググループサイトより
■大地震との関係
大きな地震の前には、この電離圏の全電子数(TEC値)が増大するといわれる。
よく知られているものでは、東北地方太平洋沖地震(2011/03/11)などのM7級以上の大地震の前に、当該の事象が観測されている。
京都大学の研究では、内陸直下型地震である熊本地震(2016/04/16)の前にも同様の現象が発生していたことがわかっている。
それによると、本震発生の2日前(2016/04/14 01:00頃)にも、電離圏擾乱による電離圏異常が観測されていた。
そして、発生1時間前(2016/04/16 00:25)からも同様の現象が見られていた。
■10/18のTEC値の異常
TEC値の観測については、NICT(情報通信研究機構)が提供する「準リアルタイムTECマップ」などで見ることができる。
私の『防災三昧』Webの「リアルタイム地震前兆データ」のページで、最新のTEC値のアニメーションを常時表示している。
昨日、上記ページを見ていて、TEC値が異常に高いことに気がついた。
これは、数時間分のTEC分布図をGIFアニメーション化して表示しているもの。
下記のGIFアニメが、昨日朝以降のデータ。
画像の右上に凡例があるが、ここで示しているように、赤色が電子数が最大であることを意味している。
これを見ると、10/18 6時台~7時台(UTC)頃に日本全土が赤くなっている。
※プラス9時間で日本時間。
■東日本大震災の前兆
NICTの「2011年3月11日東日本太平洋沖地震に伴う電離圏擾乱」のページでは、東日本大震災の前兆現象としてのTEC値の異常データを示している。
下記ページの最初あたりにある「動画ファイル」のリンクから、「MPEG形式」か「MOV形式 」かどちらかのリンクをクリックして、ダウンロードすれば動画を見ることができる。
上記の動画で、ある時刻から赤色が震源あたりから放射状に広がっているのがわかる。
その例を下記の静止画で示す。
■2013/07/18~19
次の例は、2013/07/18~19に全国で高い値が見られたときのもの。
こちらは動画ではなく静止画で示す。
この時は、それほど大規模な地震はなかったが、数日中(2~5日後)に下記のようなM5クラスの地震が起きていた。
2013/07/20 01:39:福島県沖、M5.4、最大震度3
2013/07/20 15:06:茨城県沖、M5.4、最大震度3
2013/07/21 18:52:茨城県沖、M5.0、最大震度2
2013/07/23 12:02:福島県浜通り、M5.2、最大震度4
おそらく、この場合はM5クラスの復数の地震が短期間で続いたために、日本上空の電離圏のTEC値が高くなったのではないか。
■2014/03/17 沖縄で最強クラス
次の例では、2014/03/17に沖縄で最強クラスのTEC値が出たときのもの。
「情報速報ドットコム」の記事で紹介されている。
※リンク切れ
この時の場合は、下記の静止画にあるように、北海道あたりは若干低いオレンジ色を示していた。
そして、その後に何が起きたかというと、2日後に下記の地震が起きた。
2014/03/19 21:19:台湾付近、M6.0、最大震度2
このように、台湾での大地震でも、日本上空の電離圏で異常が起きることもあるようだ。
■2015/05/10
次は、2015/05/10のTEC異常値。
その2日後の2015/05/13 18:12に、宮城県沖でM6.8の地震が発生した。
■数日間は注意が必要
このように、地震の規模にもよるが、TEC値の異常が見られてから数時間後から、多いパターンでは2日くらい後、あるいは数日または十数日後に地震が発生するケースもあるようだ。
このため、今日か明日くらいが最も注意が必要で、起きなくてもその後数日間は大きめの地震に気をつけた方が良いだろう。
※再掲ここまで