昨日フィリピン北部で起きたM7.0の直下型地震は、犠牲者や建物倒壊といった甚大な被害が出た理由を調べると納得する部分があり、また関東直下など都市部で同様の地震が起きた場合を考えると「明日は我が身か」で、防災対策が急務となる。
■被害状況
7/27 09:43にフィリピン北島ルソン島北部で起きたM7.0の地震。
7/28 20:40時点で、犠牲者は5人となった。
内陸直下の深さ10kmの浅い震源だったために、森林地域でも大きな被害が出た。
地震はルソン島の山岳地帯にあるアブラ州(Abra)で発生した。
AFP BBニュースでは「今回の地震は、フィリピン観測史上最大級の規模」とあるが、何かの間違いか。
たとえばフィリピン北部ルソン島だけで、M7クラスの地震は下記マップのように多く起きている。
■建物倒壊
この地震で、多くの建物が倒壊した。
下記の写真は、アブラ州バンゲドという町で倒壊した建物。
Googleマップでバンゲドを見ると、「カサマータ・ヒル国立公園」という保護地域の一部となっている。
このような入り組んだ渓谷が広がる地域であるからには、軟弱地盤であることが推測される。
バンゲドの町は震源から西へ18kmほどのところ。
東京に例えていうならば、東京都千代田区の中心で地震が起きたとして、西へ18kmは三鷹市のあたりになる。
そのくらいの近場ならば、建物の損壊などもあるだろう。
ただし、日本の伝統的な柔構造の木造住宅などでは、コンクリート造りよりは耐震性が高い場合もあるが。
上記マップにあるように、渓谷地帯の谷地では地盤が軟弱であり、そのために倒壊リスクが高くなるということもあるだろう。
下記の写真は、倒壊した建物に押し潰された車。
■軟弱地盤を避ける
いつも書いているように、「防災」を考えるならば「優先順位」を徹底して考える必要がある。
この地震大国で生まれながら、「防災」というと何とかの一つ覚えのように「食料備蓄」にいそしむ人々が多い。
これはもう、はっきり言って「自分は絶対命が助かるんだ」という根拠のない思い込みが根底にあるとしか思えない。
「正常性バイアス」と呼ばれるが、災害が起きた時に被災した人々が必ずのように発する言葉が「こんな目に遭うなんて夢にも思わなかった」ということ。
本当は「夢にも」思わなければいけないのだ。
前述の、食料備蓄にいそしむ人々が軟弱地盤の土地に住んでいれば、もう本末転倒だ。
優先順位としては、耐震性の高い家でもない。
まずは、「軟弱地盤の土地に住まない」ということがある。
前述のバンゲドのように、軟弱地盤の土地では、その上にどんなに耐震性に優れた建物を建てても意味はない。
われわれは阪神・淡路大震災を経て、「旧河道」(昔の河川跡)などに住むことがどんなにリスクが高いかは誰でも知っている。
それをいうならば、東京都23区の東半分くらいは、ほとんど合格点を与えられない土地だ。
また、今日も栃木県などで大雨によって床上浸水が起きたが、地震とは別に水害リスクが低い土地、つまり大きな川などから遠いとか、標高が相対的に高い地域に住むなどが重要になる。
これから住む土地を考えている人で、もしダウジングができるならば、マップダウジングをやってみると良いでしょう。
私などは、今自分で書いているような知識がほとんど無かった時に、いま住んでいる小平市花小金井に住むことができて良かったと思う。
ただし、いま住んでいる木造2階建ての借家はかなり築年数が経っていて、いつまでも長くは住んでいられない。
あと1ヶ月ちょっとで防災の日を迎えるが、それまでに自分が住む土地のリスクなどを見直すと良いでしょう。
※私が実名で登場するコミックエッセイ。
3.11の際に千葉県浦安で液状化などの被害に遭った経験を描いている。