先月、首都直下地震の被害想定が10年ぶりに見直されたが、その犠牲者数が減ったことなどについて、メディアがこぞって反論を始めた。
また、茨城県・福島県沖の地震で、どの程度の規模以上で津波発生の恐れがあるかも考えてみたい。
■メディア総攻撃
5/25に東京都が新たに発表した首都直下地震の被害想定の「改訂」の件。
下記の5/25の記事で第1報を書いた。
その後、案の定メディアが一斉攻撃を開始した。
たとえば、昨日掲載された下記の記事。
『タワーマンションは生き地獄!?「首都直下地震」被害想定見直しはアテにならない!』
ここでは、まず5/22の茨城県沖、M6.0、最大震度5弱の地震を取り上げる。
武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏が、こう語る。
「5月22日の茨城県沖の地震は、たまたま揺れも規模もやや小さかったが、もうひと回り大きければ、津波が発生しているところでした。今は地震の活動期です。これからしばらく、こういう地震が頻繁にあると思いますよ」
「ひと回り」というのは、つまりMが6.0から1上がってM7.0程度になるということだろう。
■津波が起きる地震の規模は?
そこで、ここは重要なところなので、調べてみた。
気象庁の震度データベース検索で、1919/01/01以降に福島県沖・茨城県沖で起きたM7.0以上の地震を洗い出すと、14件あった。
うち、茨城県沖が6件、福島県沖が8件。
このうち、津波が発生した地震は、どれくらいあっただろうか。
それは、下記の表で「●」印をつけた7件だった。
実際は、1938/11/05~06にはM7クラスが3回発生して、これらがひとまとめで「福島県東方沖地震」と命名されている。
この3つをひとまとめにすると、茨城県沖で1回、福島県沖で4回、津波を伴う地震となっていた。
地震の規模で見ると、最低で1938年のM7.0の茨城県沖でも津波が起きていた。
このため、通常の海溝型の大地震と同様に、目安としてはM7.0以上の地震が沖合の震源で津波が起きる可能性がある。
そして、このような発生した場合は、沿岸地域に住む人々は地震速報に耳を傾け、避難の可否を判断する必要がある。
■タワマンの検討は?
週刊実話WEBの記事に戻る。
東京都が5月25日に開催した防災会議で、10年ぶりに首都直下地震の被害想定を見直し公表した。
人的・物的被害は2012年に発表した前回の想定より、3~4割軽減するとされた。
このような被害想定の縮小に、果たして「抜け」はないのだろうか。
防災・危機管理ジャーナリスト・渡辺実氏は、こう語る。
「被害想定見直しで特徴的なことは、タワーマンションをクローズアップした点にあります。【中略】もしエレベーターに乗っている際、地震に見舞われ閉じ込められたら、どうなるか。消防もエレベーター管理会社も来てくれない。電気も消え真っ暗な中に、何日間も閉じ込められるんです。空腹、垂れ流しの排泄物。気が狂いそうになる状況に身が置かれる。実は〝タワマン〟というのは、このような地獄と背中合わせなんですよ」
この場合、タワマンとは20階以上の超高層マンションを指す。
10年前は、このようなケースはあまり検討する必要はなかっただろう。
この点が、現在は大きく変わってきた部分だ。
果たして、タワーマンションなど超高層ビルの被害を、十分に想定しているのだろうかという疑問が残る。
■神奈川県
島村氏は、こう語る。
「次の首都直下地震は、主に神奈川県であった異臭騒ぎと関係があるような気がします。典型的な都心南部直下型地震になるのか、海溝型の関東地震になるのか。今は誰にも分かりませんが、関東地震になった場合、M8になる可能性もある。もし、首都直下地震が都心南部直下地震だった場合、数十年後には海溝型である関東地震の発生も考えられます」
例の「異臭騒ぎ」については、大地震との関連性はより詳細の検討が必要だろう。
だが個人的には、やはり神奈川の大地震を懸念する理由がある。
以前に、聖地巡礼先と自宅で、「さがみ」と「まぼり つなみ」と降りてきた(?)ことがあるためだ。
このことが、今でも頭から離れない。
「まぼり」は神奈川県横須賀市の三浦半島の東側にある、馬堀海岸のこと。
東京湾の奥よりも、横須賀市あたりは湾の入口だけあって、津波襲来の被害は甚大になる恐れがあるだろう。
私は、横須賀市・観音崎近くの「走水神社」に、3.11前からよく聖地巡礼させられていた。
走水神社は、京浜急行・馬堀海岸駅前からバスに乗り換える。
「横須賀市津波ハザードマップ」を見ると、馬堀海岸駅から海岸までは、高さ5mの津波で完全に浸水する想定となっている。
やはり、自分の中では「まぼり つなみ」が現実味を帯びてきそうだ。