最近はズワイガニなど魚類の不漁の報道が多く見られ、また3/20には鳥取県の漁港でオットセイが出現したが、これらが地震前兆である可能性を検討してみる。
■ズワイガニ不漁
まず、報道によると、兵庫県・但馬のズワイガニ漁が3/20で終了した。
今季は資源量の低下や1、2月の寒波の影響を受けた出漁機会の減少などで記録的な不漁となった。
日本のズワイガニの漁場は、日本海南西部、日本海北部、オホーツク海、三陸沖合など。
日本海南西部海域は、なかでも最も漁獲量が多い。
鳥取県も、その一部のようだ。
私は地震前兆研究家を名乗っているが、なかでも地震発生前の動物の異常行動の類に最も力を入れている。
その理由としては、一つには科学者がそういうことをやってくれないから。
以前から、動物の異常行動のデータベースを非公開で作っている。
その中で、過去にズワイガニの大漁・不漁などが大きな地震の前兆だったことがあったかどうかを調べたところ、全くない。
■魚類の「不漁」など
一般に、魚類の大漁や不漁があった場合、「大きな地震の前兆ではないか?」と思う人々が少なくない。
これは、珍しい深海魚が出現した場合などと共通している。
まず、魚類の「大漁」の例を
過去の例では、1896年6月に三陸沖一帯で、イワシの大群が押し寄せたことをきっかけに、マグロが大漁となった。
そして、1896/06/15に明治三陸地震(M8.2)が発生した。
これは「津波地震」であり、犠牲者・行方不明者2万1959人という多大な人的被害が出た。
1995/01/16~20に明石海峡の定置網で大漁となり、淡路島南定置網で例年の30倍の7トンの水揚げがあった。
そして、翌日1995/01/17 05:46に兵庫県南部地震(M7.3、最大震度7)が発生した。
「大漁」の他に、「大量」出現の例も多い。
たとえば、兵庫県南部地震の2日前に、数百匹のボラが明石川を遡っているのが目撃された。
次に、大地震の前の「不漁」の例だが、意外と少ない。
1923年8月には、静岡県伊東市の漁具商がさっぱり売れなくなったという。
漁師たちに聞くと、相模湾で魚がさっぱり獲れなくなったせいだとわかった。
その翌月、1923/09/01に大正関東地震(関東大震災、M7.9)が発生した。
正確な震源は不明だが、神奈川県西部あたりとされている。
だが、このような地震前兆例は、全体の中では非常に少ない。
魚類の大漁・不漁で注目すべきケースは、ある種の魚類がある地点から別の地点へ大量に移動した場合がある。
もしこれが、大地震の震源となる地点から遠ざかって行く形の移動であれば、特に注目すべきだ。
だが、このような例は、大地震が起きてからそれとわかるものであることも確かだが。
■鳥取の漁港にオットセイ
次に、2022/03/20 18:30ころ、鳥取市の酒津漁港の船着き場で、オットセイが出現した。
体長およそ1メートルくらいの子どもとみられ、性別は不明。
衰弱しているようで、人が近づいても威嚇や抵抗することはなかった。
地元の漁師らが海に帰そうと試みたが、すぐに元の場所に戻ってきた。
その後、県の職員が保護し、動物病院に運ばれた。
実は、鳥取県でオットセイが出現するのは、過去にも何度かあった。
たとえば、2015/02/23に鳥取市気高町の船磯漁港にオットセイが出現した。
その3日後には、同漁港でサバを中心にアジやカタクチイワシなど1,110トンの水揚げがあり、今年初の大漁旗が挙げられた。
だが、その後に日本海で大きな地震はまったく起きなかった。
■冬季の魚類の異変
冬季では、特に日本海では、深海魚の出現などが非常に多い。
だが、特に極寒の2月頃にそのような報道があっても、関心をもつことは少ない。
というのも、過去の経験から、地震の前兆だったという例は非常に少ないからだ。
今回のズワイガニ不漁も、同様である可能性が高い。
たとえば、海水温の異常などの海の異変によって、魚類が居場所を変えたという原因などがあるかもしれない。
オットセイについては、弱っている子供ということで、何らかの原因で親からはぐれてトラブルに遭遇したなどがあるのだろうか。
※食べたくなった人がいるかもしれないので。
生なので刺身・鍋・蟹しゃぶなど用途は色々。売れ筋。