防災の専門家である防災アドバイザーが、大地震や水害などの災害で被災した場合の防災グッズの選び方を解説していて、非常に参考になるので、本当に必要な備蓄品などは何かを考えてみたい。
■正しい防災グッズの選び方
今回参考にしたのは、『備える.jp』というサイトで2015年12月に掲載された「専門家が自分のために考えた、正しい防災グッズの選び方」と題した記事。
筆者は、ソナエルワークス代表で、備え・防災アドバイザーの高荷智也(たかに ともや)氏。
TV出演も多く、昨年11月にはTBS系列『マツコの知らない世界』にゲスト出演している。
この人の防災に対する考え方に好感が持てるのは、例えばこの記事の冒頭にある言葉。
防災グッズを選ぶ際には「何があれば死なずにすむか」という観点で「命を守る防災グッズ」から順番に準備をすることが鉄則です。
■「食料備蓄が最優先」ではない
「防災グッズ」というと、それしか知らないかのように「食料備蓄」を連呼する人々とは訳が違うと感じた。
どんなに食料を備蓄しても、命を失ってしまえば何にもならない。
いつも書いているように、食料備蓄を最優先させるというのは、「自分は絶対に助かるんだ」という思い込みから来る。
それを専門用語で、「正常性バイアス」と呼ぶ。
これは、たとえ大災害が起きても、「自分は絶対に大丈夫なんだ」という、根拠のない偏見(バイアス)から来るものだ。
■4種類の防災グッズ
高荷氏によると、防災グッズのセットを用意する場合、その内容は目的によって変化するという。
だが、作成すべき優先順位はおおむね定まっているそう。
それは、そのグッズが「命を守る」ことに直結するものであるほど先に準備すべきだというのだ。
(1)就寝時に大地震が発生した際の危険を回避するためのセット
これは、寝ている時に大地震が起きた際のために、寝室の枕元に常備するもの。
・懐中電灯:暗闇で手元を照らす。
・軍手・スリッパ:手足の安全を確保。
・ホイッスル:助けを呼ぶため。
(2)走って逃げるための非常持ち出し袋
次は、命の危険が迫りつつある状況下で、素早く安全に避難するために「安全を確保する」ための道具が中心に選ぶ。
津波・土砂災害・火災など1分1秒を争って避難をしなくてはならない災害から、走って逃げるために量は最小限に抑える。
・靴:踏み抜き帽子インソール内臓
・ヘルメット・防災ずきん:
・手袋・軍手:障害物や危険物を排除する。
・マスク:粉塵からのどを守る。
・雨具:
・懐中電灯・ヘッドライト:電池式
その他は記事を参照
(3)避難所やインフラが止まった自宅で生活をするためのセット
電気・ガス・水道などのライフラインが停止した状況で、避難所や自宅で生活をするために必要な道具。
・トイレ・飲料水・食料
・着替え(下着)
・ラップ・食器・ガムテープ・ロープなどの生活用品
・睡眠グッズ
・衛生用品
・水タンク
ここでやっと、食料が出てくる。
たとえば、下記のフリーズドライ食品の場合は、製造後1年はもつ。
ちなみに、私が常飲している「釈迦の霊泉」は、保存期間が3年となっている。
また、同様にガンなど様々な病気が治ったという人が多い「観音温泉水」も、同様に賞味期限が3年となっている。
たとえ被災しても、水は美味しいものを飲みたいという人向け。
(4)ライフラインや流通網がマヒした状況を生き延びるための防災備蓄
南海トラフ巨大地震や首都直下地震などで大規模な被害が生じて、1週間程度の自活が求められる状況で必要なもの。
・発電機
・カセットコンロ
■優先すべき防災グッズ
優先すべき防災グッズとは、自分と家族の「命を守る」ための防災グッズだという。
そして高荷氏は、こう書いている。
「水や食料は大切です、最近ではトイレの重要性もよく聞きます、ビニール袋やラップ、ドライシャンプーも便利です。しかしよく考えてください、これらの防災グッズが役に立つのは生きている人、「災害で死ななかった人」に限られるのです。」
基本的に私の考え方と変わらない。
「〇〇大震災」などの未曽有の大災害が発生すれば、よほど辺鄙な土地に住んでいない限りは、食料や水は配給される。
こういうことをSNSで強調して主張しても、同意する人(「いいね」をつける人)は非常に少ない。
メディアの記事や、生半可な「専門家」ではなく、この人のように、徹底して考慮した結果の防災グッズ選びを参考にすべきだろう。