【噴火・津波】トンガ大規模海底火山噴火の後で起きること~過去の海底噴火の後で何が起きていたか?

2022/01/16

火山噴火 海底火山 災害 地震予測 津波 防災

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昨日のトンガ・フンガハアパイの海底火山噴火は、1世紀に1度とか千年に1度とも言われるが、過去の大規模な海底火山噴火の前後にどういうことが起きていたかを調べることによって、今後どういうことが起き得るかを考えてみたい。

■噴火の位置

トンガは170以上の島群からなる王国で、島の多くは無人島となっている。

主島のトンガタプ島には首都ヌクアロファがあり、国全体の人口は10万人くらい。

今回噴火したのは、そのメインの島の北方約60kmくらいの位置にあるようだ。



上記のGoogleマップを拡大すると、下記のように2009年の海底火山噴火によって浮上した島フンガ・ハアパイの全容を見ることができる。


昨日の大噴火では噴煙が半径260kmほどに広がったというので、その首都がある島も噴煙で完全に覆われただろう。

また津波も到達して、大混乱に陥っていると思われる。


■海底噴火の前後に起きたこと

以下に、過去100年間くらいで起きた海底火山噴火の前後に、どういうこと(地震・噴火)が起きていたかを時系列に並べてみた。

なお、凡例にある個々の用語については、このブログの愛読者(?)ならば周知のこととして説明はしないので、わからない用語があれば各自調べてください。


凡例:【海】海底噴火、【エ】エルニーニョ現象、【ラ】ラニーニャ現象、【正/負IOD】正/負ダイポールモード現象、【大蛇行】黒潮大蛇行、【S+1】スーパームーンの1日後、【ES】エクストリーム・スーパームーン、【月】月食


・1914/01/12:桜島・大正噴火、犠牲者58人
【海】1914/01/13~:福徳岡ノ場、海底噴火で新島生成。

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【ラ】1924年春~1925年春(1.2年)

【負IOD】1924年初夏~晩秋

・1924/08/15:茨城県沖、M7.2、最大震度5。

【海】1924/10/31:西表島北北東海底火山が噴火、VEI5

・1924/12/27:網走沖、M7.0、最大震度4。

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・1925/03/16:雲南省・大理地震、M7.0、犠牲者3600人。

・1925/05/23:北但馬地震、M6.8、最大震度6、犠牲者428人。

【正IOD】1925年初夏~晩秋

【海】1925/08~:西表海底火山噴火、東北から北海道沿岸に多量の軽石漂着。

・1926/05/24:十勝岳噴火、犠牲者119人

・1926/06/29:沖縄本島北西沖、M7.0、最大震度4

・1926/08/07:宮古島近海、M7.0、最大震度4

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・1934/01/15:インド・ビハール・ネパール地震、M8.0、犠牲者8519人。

・1934/02/24:硫黄島近海、M7.1、最大震度1

【大蛇行】1934年3月1日~1944年前半(or ~1943年or1946年説あり)(約11年間)

【正IOD】1934年初夏~晩秋

【海】1934/09/20:昭和硫黄島の海底で噴火で新島生成、VEI4

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【正IOD】1952年初夏~晩秋

・1952/07/18:吉野地震、M6.7、最大震度4、犠牲者9人。

【海】1952/09/24:明神礁の海底噴火、ベヨネース列岩、犠牲者31人。

・1952/11/04:カムチャツカ地震、Mw9.0、日本で津波最高8.5m、犠牲者2千人以上。

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【ラ】1973年夏~1974年春(1年)

【海】【S-1】1973/06/01:西之島の東南方600mで海底火山噴火。

【S-1】1973/06/01:桜島噴火

・1973/06/17:根室半島沖地震、M7.4、最大震度5、津波

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【海】1986/01/20:福徳岡ノ場、海底噴火で新島生成。

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・1989/05/23:ニュージーランド・南極間、Mw8.0

【負IOD】1989年初夏~晩秋

・1989/06/30~07/24:伊豆半島東方沖で群発地震、最大M5.5

【海】1989/07/13:手石海丘で海底噴火、VEI1。

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・1990/07/16:フィリピン・ルソン地震、M7.7、犠牲者1621人。

【エ】1991年春~1992年夏(1.2年間)

【海】【S+3】1991/06/15:フィリピン・ルソン島・ピナトゥボ火山が海底噴火、VEI6

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・2000/06/04:スマトラ島沖地震、Mw8.0、津波、犠牲者100人以上。

・2000/08/06:小笠原諸島西方沖、M7.2、最大震度4。

【海】2000/08/18:三宅島で海底噴火、VEI3、犠牲者1人。

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・2009/02/18:ケルマデック諸島、M7.0

【海】2009/03/16:トンガ、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ海底火山噴火、新島生成、VEI2

・2009/03/19:トンガ諸島、M7.6

・2009/07/19:ニュージーランド南島沖、M7.8

・2009/08/09:東海道南方沖、M6.8、最大震度4

・2009/08/10:インド東沖、M7.5

・2009/08/11:駿河湾、M6.5、最大震度6弱、犠牲者1人、津波

・2009/09/29:サモア諸島、M8.1

・2009/09/30:インドネシア・ジャワ島沖、M7.6

・2009/10/07:バヌアツ、M7.8

・2009/11/09:フィジー諸島、M7.3

【エ】2009年冬~2010年春(5/10以降)

・2010/01/03:ソロモン諸島、M7.1

【海】【月/ES+4】2010/02/03:福徳岡ノ場海底噴火

・2010/02/26:沖縄本島南方沖、M7.0

・2010/02/27 チリ・マウレ地震、M8.8

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【負IOD】2021年夏~秋?

・2021/07/28:アラスカ半島沖、Mw8.2

・2021/08/12:サウスサンドウィッチ諸島、Mw8.1

【海】2021/08/13:福徳岡ノ場、海底噴火で新島生成

・2021/08/14:ハイチ地震、Mw7.2、犠牲者700人以上。

【ラ】2021年秋~

・2021/09/08:メキシコ・アカプルコ、M7.0

・2021/09/21:千島列島、M6.6、最大震度1

・2021/10/02:バヌアツ、M7.3

・2021/11/11:宮古島近海、M6.5、最大震度3

・2021/11/28:ペルー北部、M7.5

・2021/11/29:鳥島近海、M6.4、最大震度2

・2021/12/09:トカラ列島近海、M6.1、最大震度4、群発地震

・2021/12/14:インドネシア・フローレス海、M7.3

・2022/01/04:父島近海、M6.1、最大震度5強

【海】2022/01/15:トンガ・フンガトンガ海底噴火、津波、VEI5~6?


こうしてみると、大規模海底噴火は、エルニーニョ、ラニーニャ、正/負IODといった海洋現象の発生中に起きることが多いのかもしれない

また、黒潮大蛇行の発生中に起きていた海底噴火は1件だけで、これは負の相関関係なのかもしれない。

これらのことを確かめるには、より多くの噴火データを収集して検討する必要があるが。


このような大規模な海底火山の噴火が起きる時には、その前後に世界(環太平洋)で全体の活動が活発になり、日本でも大地震や火山噴火が多く起きるのかもしれない。

また、海底噴火が起きる前後には、その地域で噴火に誘発されて大規模な地震を伴うこともある。


2009年のフンガ・ハアパイ新島生成時の海底噴火の後では、南太平洋あたりで大地震の連発ぶりが凄かった

昨年8月の福徳岡ノ場の海底火山噴火の後では、私が懸念していたように、正に同じようなことが起きていて、まだ終息とは言えないので更に注意が必要だと考えるのだ。


■大規模海底噴火が要注意なわけ

トンガの海底噴火は、1世紀に一度とか、一部の専門家は「1000年に1度」の大規模噴火などと語っている。

また昨年8月の福徳岡ノ場の海底噴火も、国内で戦後最大規模だと言われる。



この半年間ほどで、このような大規模噴火が続いたことを「たまたま」だと思ってはいけないだろう。

環太平洋では地震・火山活動が活発化しているとして、「まだこれから」と考えておくべきではないか。


1月15日19時頃、気象庁は発表で、若干の海面変動が予想されるとしつつも、「被害の心配はない」とした。

だが、数時間後の23:55に、奄美市で1.2mの最大波を観測した。

貴重腸はあわてて0:15に奄美諸島・トカラ列島に津波警報を出した。


このように津波の予測が外れて大変な事態になりかけたが、このようなことはいつでも起こり得ると考えなければならない。


自然は、人間たちの行いを嘲笑うかのように巨大地震や巨大噴火を起こすこともある。

実際は完全ではない地球上の自然科学を完全だと思い込む妄信が、新たな大惨事を生むかもしれない。



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ノンフィクションライター、地震前兆研究家、超常現象研究家、ブロガーの百瀬直也が地震・災害などを扱うWebサイト/ブログ。

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