昨日TOCANAに掲載された私が執筆した記事では、災害発生時などで日本人がデマに振り回されたり買い占めに走るなどパニック状態に陥りやすい心理状態を取り上げ、今後の首都直下地震などの大災害に備えてどのような心構えが必要かを考えてみた。
■TOCANAの記事
昨夜まで2泊3日で群馬県みなかみ町の「釈迦の霊泉」へ行っていて、昨日ブログで紹介できなかった。
このトカナの記事は4ヵ月も前に原稿を執筆したもので、事情が変わった部分もあるが編集部が手直ししてくれた。
関東大震災の際にデマが流れて、多くの朝鮮半島や中国の人々の命が奪われた。
他にも、オイルショックによるトイレットペーパー買い占めパニック、米不足による買い占め、コロナ禍でのマスク買い占めなどが過去にあった。
日本人は、なぜこのような同調行動をとってしまうのだろうか。
そのあたりから、今後の大災害発生時にはどうなるかについても解説している。
関心がある方は、まず下記のトカナの記事を読んでみてください。
『コロナ禍でわかった「首都直下地震で日本人がパニックのあまり超ヤバい暴挙に出る」可能性とは!?』
■パニックになる心理
特に日本人は、アジアの農耕民族の中でも「同調行動」を起こしやすい国民だとされる。
災害時のデマに詳しい東京大学准教授・関谷直也氏は、「首都直下地震でも確実に外国人に関するデマやうわさが拡散すると思います」(NHK『災害列島 命を守る情報サイト』)と断言している。
日本人の多くは、オリジナリティーを追求したり独自なものの考え方をすることを好まず、周囲と同調しようという意識が強い。
私はその意味では少数派であり、そのような行動をとる人々の気持ちが理解できない。
どちらが良い悪いではないが、そういう人間だからこそ、独自のものの考え方をして物書きや研究家として仕事が成り立っているのだろう。
そこには、「他人と異なる行動をしたくない」「人と合わせたい」という心理があるのだろう。
■「多数派同調バイアス」
ある服装や髪型が流行していれば、それに合わせないと気が済まない。
テレビで話題の飲食店があれば、行列してでも食べなければ気が済まない。
学校で皆が見ているテレビ番組は、あまり興味が無くても話題に遅れないようにと見てしまう。
このような、日本人特有の、周囲と異なる言動を嫌う傾向がある人々を批判するものではない。
だが、大災害が発生した場合は、そう言ってもいられない部分がある。
首都直下地震や南海トラフ巨大地震が発生した場合、100年前の関東地震の際に起きたようなデマが流れるのは「確実」だろうし、しかも前回には存在しなかったインターネットにより、そのようなデマはたちまち拡散される。
その場合、私のように「人と同じ生き方をしたくはない」という人よりも、他人との同調行動を取りやすい人々の方が危ないことは容易に推測できる。
災害発生時に、「自分は絶対に大丈夫」と根拠のない確信を抱いて避難しない人々も、この国には多い。
最近でも、災害や事件が発生した際のTVのインタビューで「自分がこんな目に遭うなどとは全く思ってもいなかった」という言葉を嫌というほど聞く。
「思ってもいなかった」ではなくて、思わなければいけないのだ。
それはやはり、日本人の多くでは「多数派同調バイアス」(majority synching bias)と呼ばれる、人と同調しやすい心理状態が優位となるためだろう。
■デマに惑わされないために
災害発生時などに、「本当かな?」と思うような噂が流れてきたりネット上で目にしたら、まずその情報の真偽を確認することが必須となる。
ネット上の掲示板などで目にした情報であれば、そのことがテレビなどで報道されているかどうかを確認する。
あるいは、そのような真偽の報道がまだされていない場合は、この人(機関)ならば大丈夫という存在を予め決めておいて、そこにアクセスする。
とにかく、自分(たち)だけの根拠の乏しい情報だけで判断しないことが重要だろう。
※「正常性バイアス」などについては、まず「入口」としては、この本などが良い。
『人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学』