この秋になって、東海道南方沖でM5クラスの地震が2回ほど起きたが、自説では黒潮大蛇行の発生中には大きな地震は起きない筈なのに、なぜ起きたか?
それを解説する。
■黒潮大蛇行
以前から、黒潮大蛇行が本土の南方沖で起きている間は、その海域では南海トラフ巨大地震は発生が抑制されて起きないと言っていた。
その説を最初に説いたのは、元気象庁の岡田正実氏だった。
私はその説を発展させて独自に研究を進めた結果、大蛇行の渦から遠い南関東でも大地震の発生が抑制される傾向があることを発見した。
だが、では秋になって大蛇行が発生している付近の東海道南方沖でM5クラスの地震が起きたのは、なぜか?
私が発見したと思っていたセオリーは、どこか欠陥があるのか?
■9/14の地震
まず、9/14に東海道南方沖で起きたM6.0の地震を見てみる。
下記マップは、今年発生したM5.0以上の地震を示している。
上記マップにある黒潮の流路は現時点の状況を私がフリーハンドでなぞったもので、あまり正確ではない。
そこで、この地震が起きた9/14の海上保安庁発表の正確な黒潮流路の図を見てみる。
私が下記入れたように、この日に起きた地震は、ちょうど黒潮大蛇行の流路の真下あたりが震源だった。
そのため、大蛇行によって潮位が高くなって海水の圧力で大地震の発生が抑えられるという岡田説は、この場合そう顕著な効果はないだろう。
加えて、このように深さ385kmという深発地震では、そもそも黒潮により高まるという「水圧」は、あまり影響がないのではないか。
■10/21の地震
上記の私の考えが妥当ならば、次の10/21の東海道南方沖、M5.6、深さ356kmの地震でも同じことが言える筈だ。
まず地震発生日の10/21の黒潮の流路の図を見ると、また黒潮の流路の真下あたりが震源となっていた。
しかも深さが356kmと、これも深発地震だった。
やはり自説に欠陥があるわけではなさそうだ。
■1/15の地震
また、今年のM5.0以上の地震のマップに戻る。
ここで1/15に、大蛇行の内側の三重県南東沖(紀伊半島の南東沖)でM5.3の地震が起きていた。
だが、これも深さ364kmと深発地震だったので、大蛇行の影響を受けにくかったのだろう。
やはり自説は誤りではなく、明確に説明できることがわかった。
このことを最初に発見した岡田氏はやはり先見の明がある。
今日noteで発行した私の単独マガジンでも書いているが、海洋現象と火山噴火や地震の発生とは、大いに関係がある。
だが、それに「気づいている」人は世界でも少ない。
■黒潮「長期」予測
JAMSTECが発表する黒潮「長期」予測の10/21発表の最新版をYouTubeで見てみる。
ここで、12月上旬ころに黒潮大蛇行の渦がちぎれる予測となっている。
これで黒潮大蛇行が終了するわけではなく、一時的なものだと解説がついている。
また、九州南方沖に小蛇行ができる予測となっている。
YouTubeなどを見ると、今にも南海トラフ巨大地震が起きそうだとか、黒潮大蛇行が終わって巨大地震が来るなどと言っている人がいるが、私見ではそういう兆候は無い。
このような不正確な情報に踊らされずに、常に正確な情報源にあたることが大切だ。
※天気と海の関係についてわかってきたことは、最先端の科学的研究の成果だろう。