著名な火山学者である鎌田浩毅氏が、雑誌のインタビューで、富士山の噴火が近いことを示唆することを語っているので、その可能性を検討する。
■富士山噴火の警戒期
鎌田浩毅(ひろき)氏は、日本の地球科学者で京都大学特任教授・名誉教授。
専門は火山学・地球変動学で、著名な火山学者だ。
その鎌田氏が、最新の『週刊ポスト』2021年6月18・25日号でインタビューを受けている。
「富士山は“噴火スタンバイ状態”と専門家 2021年は世界でも噴火多発」と題したもの。
ここで鎌田氏は冒頭に、「富士山は300年ぶりの大噴火に向けた“スタンバイ状態”に入っています」と語る。
そのきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災だったという。
そして今、富士山地下のマグマに影響が及んだと語る。
■3.11の影響
鎌田氏によると、10年前の東北地方太平洋沖地震で、富士山は大きな影響を受けたという。
「東日本大震災で富士山の地下20kmにあるマグマ溜まりが揺すられ、噴出しやすい状態になりました。その4日後、3月15日には富士山の地下14kmで地震が起こり、マグマ溜まりの上の岩盤が割れた。この2つの条件が重なり、富士山は噴火しやすい状態に入ったのです」
たしかに、巨大地震の4日後に富士山の地下で起きたことは、タイミング的に偶然とは思い難い。
そして今、富士山が危ないという論拠の一つとして、今年は世界中で噴火が多発しているということがある。
これは、自説では今年5/26の皆既月食トリガーが一つにはある。
この前後には、下記のように各地で火山噴火が起きていた。
【-7】2021/05/19:イタリア・ストロンボリ火山噴火。
【-7】2021/05/19:イタリア・エトナ火山噴火。
【-4】2021/05/22 03:04:中国青海省、M7.3、死者2人
【-4】2021/05/22:コンゴ・ニーラゴンゴ山噴火。
【月】【S】2021/05/26 20:00頃:皆既月食
【+4】2021/05/30:イタリア・エトナ火山噴火。
【+5】2021/05/31 06:59UTC:アラスカ州チカルーン、M6.1
【日】2021/06/10:金環日食、新月
その後の6/10の日食を過ぎても、今のところは顕著な大地震や火山噴火は起きていない。
月食トリガーで出尽くした?
それはわからないが、まだ来週半ばまでは注意が必要だ。
■南海トラフ巨大地震
過去に噴火が始まった日が知られている富士山噴火は私が知る限りは6回あるが、うち全てが満月・新月の6日前~6日後に起きていた。
つまり、月齢と関係ない時に起きていた噴火は無かった。
更に、1707年12月16日の宝永大噴火は、スーパームーンの6日後に起きていた。
1707年の宝永大噴火は、南海トラフ巨大地震の一つとされる宝永地震の49日後に始まった。
また次回も、同様のパターンとなる可能性は考えておくべきだろう。
■マウンダー極小期
昨年10月のTOCANAの記事で書いたが、現在、約350~400年の周期で増減する太陽黒点の大極小期に入ったといわれる。
つまり、太陽活動が停滞して太陽黒点数が最低になる期間だ。
前回の大周期は「マウンダー極小期」と呼ばれ、1645~1715年にかけて続いた。
この70年間には、明確な11年周期が失われるほど黒点数が減少して「ミニ氷河期」とも呼ばれた。
そして、各地で河川が凍結したり、飢饉が頻繁に発生した。
この期間を見てお気づきかもしれないが、富士山の最後の大噴火「宝永大噴火」も、この期間中の1707年に起きていた。
これも、「たまたまそうなった」わけではないだろう。
これはまた別の機会に書くことにするが、鎌田氏が言われるように、富士山が300年ぶりに噴火を起こす可能性は、そろそろ考えておくべきかもしれない。
■今日の前兆現象
うちのラドン濃度だけ。
常時見ているわけではないが、値が「5」と大分下がっている。
関東は1日以上有感地震が起きていない。