大地震の際に発生して、地震の被害以上に多くの犠牲者が出る津波は、海溝型地震で多く発生するが、それ以外にも内陸地震や火山噴火でも起きることを知っておくことは、非常に重要なことだ。
また、「現代版 稲むらの火」といえる、津波の発生をいち早く人々に知らせることができるシステムも紹介する。
■「現代版 稲むらの火」
まず、今日のニュース記事で目に入ったのが「現代版 稲むらの火」。
「ニュース和歌山」の記事だ。
「稲むらの火」は、このブログを見に来る人で知らない人は少ないだろう。
1854年の安政南海地震で起きた津波を、村人たちに知らせようとした濱口梧陵という人物の逸話だ。
ラフカディオ・ハーンが英文の作品で紹介したりして、全国に広まった。
この津波が来た時、濱口氏は稲の束に火をつけて回った。
津波の第一波が襲った後で、暗闇でどこへ逃げればいいか戸惑っていた村人たちは、その火を頼りに高台へと避難することができた。
そして、その後に襲ってきたより大きな津波から助かった人々が多かった。
■画期的な新システム
その「現代版 稲むらの火」とは、どういうことだろうか。
読むと、こういうことだ。
準天頂衛星「みちびき」から届く災害情報を受信し、いち早く地震や津波からの避難を呼びかける装置「WASL(ワッスル)」を、和歌山県内2社と和歌山大学システム工学部の教授らが共同で開発しているという。
コンパクトで、音と光の両方で地震を知らせることができるのが特徴だという。
用途としては、これを海辺や街中に設置して、津波の発生をいち早く知らせ、避難誘導を行うというもののようだ。
このアイデアの元となっているのが、準天頂衛星「みちびき」で、津波の発生を自動的に通知できるものだとすれば、かなり画期的なシステムだろう。
後で詳しいことを調べてみたい。
■内陸地震や火山噴火でも津波は起きる
よく、地震が起きる度に、小規模の地震であっても、気象庁が「この地震による津波の心配はありません」と発表するのは何故か?
それは、一つには、津波というものは海溝型地震だけが原因で起きるものではないということがあるのではないか。
場合によっては、内陸が震源の地震でも起きるし、また火山噴火でも起きる。
以下に、海溝型地震以外の原因による、被害が出る津波が発生した例を示す。
◎1766年03月08日:津軽地震:M6.9~M7.1、犠牲者約1500人。
◎1769年08月28日:日向・豊後・肥後:M7.2~M7.4。
◎1792年02月10日:普賢岳噴火。山腹から溶岩流が流下、眉山が山体崩壊を起こし、「島原大変肥後迷惑」の発生。津波高さ10m以上。犠牲者約15,000人。
◎1793年02月08日:西津軽地震、M6.9~7.1、地震発生前に海水が引く前兆現象あり、犠牲者3人。
◎1804年07月10日:象潟(さきかた)地震、出羽国(今の山形・秋田県)、M7.0、犠牲者500~550人、津波高さ3~4m。
◎1892年12月09日:石川県・富山県、M6.4、弱い津波、犠牲者2人。
■地震を感じなくても津波は起きる
このように、通常は津波を発生させる地震は、M7クラス以上の大地震が多い。
だが、そのことを固定観念として頭に植え付けてもいけない。
前述のように、1892年の石川県・富山県の内陸地震はM6.4の規模でも、弱くはあったが、津波が起きた。
もっといえば、日本で何も起きていなくても、津波は襲って来ることがある。
大平洋沿岸地域で生まれ育った方々は、子供の頃から頭に叩きつけられているだろうが、チリなどの太平洋の向こうなどで起きる巨大地震による津波だ。
今のようにテレビやインターネットも無かった頃は、海の向こうで巨大地震があったことなど知らず、何の前触れなしに津波が襲って来たのだろう。
■ずっと起きていなくてもいつかは…
こうして見ると、海溝型地震以外による被害が出るような津波は、日本では100年以上起きていないようだ。
だが、今後も同様に起きないという理由はない。
そのような体験をした人が生存していないことほど、一旦起きると怖いということは、あるかもしれない。
大きな地震があれば、海沿いに住む人は常に津波発生の可能性を頭に入れておく必要があるだろう。
気象庁が「津波の心配はありません」と発表するまでは、油断をしないことが大切だ。
■宮城県沖M5.8
今朝2021年04月18日09時29分、宮城県沖でM5.8、最大震度4の地震が起きた。
これは、昨日の記事で書いた、明菜さんがブログで書いていた、宮城県の歯科医院で患者が増えたことに対応する地震だろうか。
あるいは、今後もっと大きな地震が起きれば大変だが。
柿岡・地磁気擾乱データを見ると、今日も昼頃に「Active」に達していた。
念のため注意を。
※「胎内記憶」のマンガ。
大人でも感動しそうで、思わず買った。