現在noteのマガジンで、昨日紹介したラドン濃度とイオノグラムの紹介ページを作っていて、その一部を紹介しながら、イオノグラムがどのように地震予知に役立つかを示したい。
■イオノグラムとは
イオノグラムとは、NICT(国立研究法人・情報通信研究機構)が提供する電離層観測データのこと。
まず、電離層とは、地球を取り巻く大気の上層部にある分子や原子が、紫外線やエックス線などにより電離した領域のこと。
電離圏はm電子密度に応じた周波数の電波を反射する性質がある。
NICTでは、地上から周波数を変えながら上空に電波を発射して、電離圏からの反射エコーの返ってくる時間を計測している。
国内の北海道、東京、鹿児島、沖縄の4カ所で定常的に観測を行っている。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の発生の5~6日前から、上空の電離層で「明瞭な前兆」が見られたという。
それは、大気上空の電離層の乱れとして観測された。
NICTでは、電離層の観測はイオノゾンデという観測装置で行っている。
そして、イオノゾンデによって取得される電離層の一次観測データを、「イオノグラム」と呼ぶ。
■地震発生の例
以下にイオノグラムの例を示す。
下記は2019/05/23 17:45のデータ。
特に右上の国分寺(東京都西部)で強く出ている。
特に右上の国分寺(東京都西部)で強く出ている。
※データ提供:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、以下同
その後に下記の地震が起きた。
2019/05/23 19:20:福岡県築地地方、M3.7、最大震度2
2019/05/24 12:40:埼玉県南部、M4.1、最大震度3
2019/05/24 13:25:奈良県、M3.8、最大震度1
上段の国分寺(右)と稚内は、埼玉県南部M4.1の前兆。
下段の山側(鹿児島、左)と沖縄は、福岡県筑紫地方M3.7の前兆だったようだ。
■イオノグラムの見方
上記イオノグラムで、横軸が周波数(1〜30MHz)、縦軸が見かけの電離層高度(0〜1000km)を示す。
そして、色が反射波の相対的な強度(0〜255)を表している。
色の違いによる強度は、上記のイオノグラムの右端に示されている。
その時、 どの周波数の電波がどの高さに存在した電離層によってどの程度の強さで反射されたか(どの周波数の電波を通信に利用できるのか?)を知ることができる。
色が赤いほど強いほど強度が高いということになる。
そして、赤い縦線が入るほど大規模な地震に注意が必要となる。
■M6クラスの地震の前兆
もう一つのイオノグラムの例を。
2019/08/28 19:30のもの。
2019/08/28 19:30のもの。
ここで、特に右上の国分寺が強く、広い周波数帯で出ている。
→2019/06/29 00:51:マリアナ諸島、M6.7、最大震度1
下記の震源図で記したように、震源は各観測点から遠いが規模が大きかったため、どこの観測点にもデータが届いていたのだろう。
イオノグラムデータで地震前兆が現れる際の特徴は、一つには震源が遠方の場合は複数の観測点に前兆が現れること。
そして、観測点が震源に近い場合は、かなり派手に出るが、実際はM3クラスなど小規模の場合もある。
昨日のラドン濃度と同様に、イオノグラムも近日中にnoteマガジン『地震前兆百科』にノートを追加することにしたい。
このNICTのイオノグラムのデータは、『リアルタイム地震前兆データ』で常時最新データを表示している。
※90歳の母にAmazonで買ってあげた電気毛布。
敷き・掛け両方に使えて温かい。
6時間後に自動停止するが、安全性を考えてのことだろう。