過去の日本の古代から現代までに起きた大地震や津波を可視化したデータがあるが、今日はこれをもとに、日本のどのへんが大地震や津波で危ないか、または安全かを見てみることにしたい。
まず問題から始まるが、冒頭に掲げたアイキャッチ画像は、何を示すものでしょうか?
下記の図は、同じマップの周囲を切り取ったもの。
正解は、過去のBC2000年位以降の4000年間くらいに日本で津波が起きた地点をマッピングしたもの。
日本だけを切り取っていて、日本の最古の津波はいつか不明だ。
これを見ると、日本の沿岸はほとんど過去の津波履歴で埋め尽くされる。
これを2分割して少し拡大して見ると、まず北日本はこうなる。
強いて言えば、北海道の北側で津波がなかったところがある。
次は、南日本。
ここでは、過去に繰り返し南海トラフ巨大地震に襲われた四国や紀伊半島は、さすがに×印で埋まっている。
九州の北側と南側で、多少津波起きていないところがある。
あとは、さすがに内海の瀬戸内海沿岸は少ない。
こうして日本全体を見てわかることは、「津波から安全な海沿いの土地」など、ほとんど無いということだ。
■関東圏の津波は?
次に、関東圏あたりを拡大して、津波の履歴を見てみる。
これを見ると、多摩地区のずっと内陸の調布市あたりに×印がついている。
ここは津波などあり得ないが、データを見ると相模湾になっていて、データの誤りだろう。
千葉県の内陸にも同様のb所がいくつかある。
九十九里浜でも、横芝光町にマークがついていて、たしかに3.11で被害が出たが、海から30キロほどの地点なので、位置情報が不正確なのだろう。
以前に私が幻聴(?)で聞いた「まぼり つなみ」だが、その馬堀海岸がある三浦半島の東側も、かなり埋まっている。
東京湾の奥までいくと、千葉市あたりはさすがに少なくなるが、これだけ印がついていると、油断はできない。
■大地震の分布
次に、過去BC3000年位以降に世界で起きた大地震の分布を示す。
これは津波のデータにも同様に言えることだが、時代が遡るにつれて位置は不正確になっていくだろう。
また、どのくらいの規模なのかも不明だ。
やはり日本海溝での大地震が多いことがわかる。
ただ、先日のひずみ集中帯の記事で示したように、日本海側の内陸では大地震は少なくても被害地震が多く、×印が少ないから安心ということにはならない。
■災害の危険がない土地は?
別に火山噴火の分布もあるが、これはまた後日に紹介する。
地震・津波・噴火すべてを考慮すると、冒頭のタイトルに書いた「災害の危険がない土地はどこか?」という問いへの答えは?
どこにもないかもしれない。
強いていえば、北海道の北側あたりでは大きな地震も津波も少ないようで、他の要素を考慮しなければ住むには良いかもしれない。
もっとも、私のように寒いのが苦手な人には問題だろう。
■活断層の問題も
また、今回は考慮しなかったが、活断層の問題もある。
人類の歴史のうちでは、たとえ大地震が起きていなくても、それはこの数千年間に活断層が動いていなかっただけの話だ。
ちなみに、主要な活断層だけでも、下記マップで赤色で示すだけある。
これを見ても、北海道の北側は無いので良いかもしれない。
だが、活断層というのは首都圏も含めてまだ「見つかっていない」ものもある可能性がある。
活断層の定義は、「数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層」のこと。
このような壮大な期間に比べると、人類が文明をもった以降は、ほんの一瞬に過ぎない。
これから住む土地を考えている方々は、今回紹介したこと以外にも、考慮すべきことは色々ある。
たとえば大きな河川の近くでは水害リスクがあるとか、イヤな話だが、原発事故とか…。
もっと言えば、大規模カルデラ噴火つまり「破局噴火」が起きれば、こんな議論も空しくなるくらいに日本が全滅になるかもしれないが、政府はあまり真面目に検討してくれないようだ。
更に更にと書いていくとキリがなくなるので、今回はこのへんにしておく。
※雨水、残り湯、河川、池の水をろ過して飲むためのもの。